野球王国大阪を支えるボーイズリーグと「プロ野球気分」

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第100回記念となった全国高校野球選手権大会は、大阪桐蔭が他を寄せ付けない強さを発揮して優勝しました。

 

「可愛げがない」「憎らしいほど強い」と言われることもある大阪桐蔭ですが、2度目の春夏連覇は前人未踏の領域です。

 

一方、その大阪桐蔭に勝てるのはどこかとファンの間で話題にのぼります。大方の見方は、履正社。これも大阪の高校です。

 

大阪桐蔭の最大のライバルが大阪の履正社というわけです。まさに、野球王国大阪といった感がある昨今ですが、それを支えるのは何かを探ってみました。

 

 

 

昔から大阪は野球王国だった

そもそも今の高校野球の前身である全国中等野球大会が関西で始まり、後に甲子園球場になっていったのでしょうか。

 

この大会を主催した朝日新聞社の本社が大阪にあったこともありますが、当時の中等野球が関東より関西で人気があり、強い学校も関西に集中していたことがあげられます。

 

古くは浪華商に始まり、、浪商やPL学園といった強豪校が出てきた大阪府。夏の甲子園大会の優勝回数は13回で、2位の愛知県の8回を大きく引き離しています。

 

愛知県の優勝回数のうち5回は戦前の大会であるのに対し、大阪府は戦後だけで13回の優勝を飾っています。

 

まさに、戦後の高校野球においては名実ともに王国の名にふさわしい実績を示してきています。

 

 

野球王国大阪を支えるボーイズリーグ

野球王国大阪の土台を支えているのは「ボーイズリーグ」と言われる小中学生の硬式野球リーグです。

 

このボーイズリーグの数の多さとレベルの高さは他の地域を圧倒しています。中学生の硬式野球全国大会として、読売新聞社などが主催する「ジャイアンツカップ」がありますが、過去10年間で4回も大阪のチームが優勝しています。

 

また、甲子園の常連校である熊本県の秀岳館高校は、大阪府枚方市の「枚方ボーイズ」の監督を長らく務めた人が、選手ごと熊本に移って始めたチームとして有名になりました。

 

秀岳館は熊本県代表という名の大阪のチームとも批判半分で言われましたが、それほど、中学野球のレベルが高いということでしょう。

 

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野球王国を支える「プロ野球気分」

しかし、強豪ボーイズリーグの存在だけでは大阪の強さは説明できません。東京にも調布シニア、武蔵府中シニアといったプロ野球選手も輩出した名門・強豪チームが多くあります。

 

全国のボーイズリーグを取材しているライターの記事を読むと、共通しているのは東京と大阪の雰囲気の違いです。東京のチームは、練習風景をみても限りなく高校野球に近いものを感じる一方、大阪のチームは「プロ野球気分」の風情があるといいます。

 

つまり、東京のチームは「ミニ高校野球」、大阪は「街のプロ野球」というわけです。

 

練習グラウンドを無償提供し、試合となったら仕事を捨てて応援に駆けつける「野球好きのおっちゃん」はどこにでもいそうなものですが、私財を投げ出して物心両面で「野球好きのおっちゃん」が運営しているチームが数多く存在するのは大阪ならではでしょう。

 

プロ野球チームにはオーナーがいるように、物心両面で運営している「おっちゃん」がボーイズチームの『代表』となり、子どもたちや保護者からそう呼ばれ、「金も出すけど口も出す」と言ってはばからないタニマチがいるのは大阪くらいなものでしょう。

 

そうした「プロ野球気分」のなかで育った子どもたちにも、その気分は植え付けられていくのも当然です。

 

プロ野球日本ハムの清宮幸太郎の高校時代に通算ホームラン数が話題となりましたが、当時、その清宮を超える逸材と言われていたのは履正社の安田尚憲(現・千葉ロッテマリーンズ)でした。

 

安田は、「プロでは金属バットは使えないから」と練習では木製バットを使い続け、先を見据えた取り組みをしていました。その安田は、大阪大会で大阪桐蔭に敗れた後、チームメイトと健闘を称え合いましたが、そこには涙はありませんでした。

 

また、2度目の春夏連覇を成し遂げた大阪桐蔭の藤原恭大は、決勝戦の翌日、1人でバッティングセンターに行き、黙々と100球ほど打ち込んだと報じられています。

 

高校野球で終わりではない大阪。終わりではないけど、終わってもいいと思っている東京をはじめ他の地方。こうした気分が野球王国大阪の強さの土台をなしているのかもしれません。

 

以上、『野球王国大阪を支えるボーイズリーグと「プロ野球気分」』でした。

ヤマト引越し過大請求 「クロネコ」ブランド失墜も業績に影響なし?!

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運転手への残業代未払い、受託契約をめぐるアマゾンとの対立、宅配便料金の値上げなど、「クロネコヤマト」でおなじみのヤマトホールディングは大きな問題に次々と直面しています。

 

さらに、今年7月に公表した法人向け引越しの料金過大請求です。まさに「クロネコ」ブランドのイメージ失墜で業績も悪化かと思いきや、大した影響もないようなので驚きです。

 

 

 

ヤマト引越し過大請求

宅配最大手のヤマトホールディングスは7月24日、子会社のヤマトホームコンビニエンスが法人顧客向けの引っ越し料金を過大に請求していたと発表した。2016年5月から2018年6月末までにサービスを提供した3367社の約8割にあたる2640社に対して過大請求があり、総額は約17億円に上る。

 (引用:「東洋経済」

 

ヤマトHDの説明では、過大請求が発覚したのは同社100%子会社のヤマトホームコンビニエンス。

データの残る2016年5月~18年6月、契約した3367社の引っ越し約12万4千件のうち、2640社の約4万8千件で計約17億円の過大請求があった。

本来の料金の2倍近くを請求したケースもあった。関係者によると、過大請求がなかった事業所は全国128のうち5カ所だけ。ほぼ全ての事業所で過大請求が確認された。

(引用:「産経新聞」)

 

 

ヤマトが法人向け引越しに参入した理由

今回、新たに問題となった法人向け引越し業務は、言うまでもなくヤマトの本業ではありません。本業は何と言っても小口荷物の配送、宅配便です。

 

宅配便は佐川急便、日本郵便はじめ大小様々な業者が乱立して競争が激化しているとはいえ、需要そのものはネット通販やTVショッピングで大きく増えています。

 

ただ、宅配便という事業は、最終的には運転手の量と質をいかに確保するのかがネックとなるビジネスモデルです。このことは、業界を開拓した草分け的存在であるヤマトは早くから見通していたはずです。

 

そのため、運転手に頼ることなく、学生やフリーターなどのアルバイトを活用できる業種への参入に乗り出します。

 

2000年代に入って、業務のIT化などで企業がネット環境の整った新しいビルに移転する需要は着実に増加しており、ヤマトがこの分野に狙いを定めたのも肯けるというものです。

 

 

誤算だった引越しへの参入

こうしてヤマトは2008年以降、法人向け引越しに参入しました。

 

企業秘密に関わる荷物の扱いや期日厳守が絶対である法人引越し業務では、宅配便の正確さで培った「クロネコ」ブランドは大きな営業力となったことでしょう。

 

しかし、誤算だったのは人件費の急騰でした。アルバイトの時給も急騰しました。企業の引越しですから当然、作業は深夜、週末、休日が基本となります。こうした限定された日時の人手の確保は困難をきわめ、必然的に時給・日給を上げざるをえなくなるわけです。

 

想定外の人件費増額分を過大請求で埋め合わせる採算のつじつま合わせが、現場の暗黙の了解のうちに日常的に行われていたものと考えられます。

 

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「クロネコ」ブランド失墜も業績に影響なし

今回の過大請求の問題を、ヤマトの山内雅喜社長は「組織ぐるみではない」と釈明していますが、過去2年間の契約件数の約4割が全国各地で同じ手法で過大請求が行われていたという厳然たる事実があります。

 

社内文書や業務命令で明記していなければ「組織ぐるみではない」というのは、某国の首相の国会答弁のようで、聞いていて悲しくなります。今回の不正発覚で、「クロネコ」ブランドのイメージ失墜は計り知れないダメージを与えるものと思われます。

 

ところが、ブランドが失墜しても大きな影響はないだろうというのが大方の見方のようです。

 

小売業などでは、不正や不祥事が発覚するとイメージダウンによる売上減少というケースが多々あります。ただ、ヤマトは主力の宅配便で国内シェアのほぼ半分を握っています。

 

クロネコがなければ国民生活が成り立たないほどの物流網を構築しており、今回の不正によって引越しサービスの受注は休止するものの、ブランドイメージが低下しても業績には大きな影響を与えないというわけです。

 

宅配便ビジネスが巨大化したことが、無意識のうちに会社全体のおごりのようなものを招き、不祥事につながっていったとすれば、クロネコヤマトの生みの親である小倉昌男氏が草葉の陰で泣いてしまいます。

 

 

おわりに

小倉昌男氏はがんじがらめだった国の規制を緩和させ、郵便事業と戦い、消費者に真に役立つ宅配便を築きました。

 

こうした話は世間一般に広く知られていて、ヤマトへの共感と信頼の源となっています。

 

原点に戻れるかどうか。大好きだったヤマトの今後に注目したいと思います。

 

 

以上、『ヤマト引越し過大請求 「クロネコ」ブランド失墜も業績に影響なし?!』でした。

日本初『便秘診療のガイドライン』は従来の治療法を覆し、新しい処方薬を紹介!

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人知れず悩む人が多い便秘。

 

肌荒れ、ニキビ、膨満感、食欲低下・・・つらい症状です。

 

ついついドラッグストアに並ぶ便秘薬に頼ってしまったり、やたらと野菜類を食べたりしてしまいます。しかし、一向に改善しません。

 

こうした便秘に苦しむ人に朗報です。

 

昨年、消化器内科医が日本初となる『便秘治療のガイドライン』を作成し、従来の治療法を覆し、新しい処方薬を紹介しています。

 

 

 

便秘は「国民的病気」

厚生労働省のデータによると、日本で便秘の症状を訴える人は440万人を超えるといいます。いわば、「国民的病気」と言っても過言ではありません。

 

便秘に悩むのは女性が多いというイメージがありますが、年齢を重ねるにつれて男女ともに悩む人が増えていきます。80歳以上では、男女問わず、10人に1人を超す人が便秘の症状を抱えているとのことです。

 

しかし、ありふれた症状であるとともに、人知れず悩むことが多い症状だけに、医学界では真正面から「便秘治療」の本格的な研究はなされてこなかったといいます。言ってみれば、医学界の意外な盲点だったというわけです。

 

 

日本初の『便秘治療のガイドライン』を作成

そうした医学界の現状を憂い、関連する学会が協力して「慢性便秘の診断・治療研究会」が設立されました。

 

そして、この度、日本初となる『便秘診療のガイドライン』(正式名称・慢性便秘症ガイドライン2017)が作成・発表されました。

 

ガイドライン作成メンバーの横浜市立大学院医学研究科の中島惇教授は「産経ニュース」の取材でその意義を説明しています。

「便秘なんてたいしたことない」と思う人も多いが、とんでもない。ただの便秘だと思っていたら、実際は大腸がんなどの病気が隠れていることもある。

高齢化の進展で便秘患者はさらに増えるとみられるだけに、診断・治療の体制を早急に整える必要があった。 

 

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そもそも便秘とは?

ガイドラインではまず、「便秘とは何か?」を定義しています。便秘は個人差が激しく、「私は便秘だ」と訴える人が、そもそも本当に便秘なのかわからないと医師の間では言われてきました。

 

日本内科学会は「3日以上排便がない、または毎日排便があっても残便感がある場合」としていましたが、ガイドラインでは「本来なら体外に排出すべき糞便を、十分量かつ快適に排出できない状態」と改めて定義しました。

 

便秘に悩む人の中には「毎日排便しなければならない」と思い込んでいる人が少なくありませんが、週に3回程度の排便でも、腹痛や腹部膨満感、残便感などがなければ問題はない、ということです。

 

その上で、便秘治療に関して役立つ様々な知識を紹介し、検証しています。

 

例えば、便秘になりにくい人の特徴は、

・朝食を必ず食べる人

・ダイエットの経験のない人

・昼食をしっかりと食べる人

・1日に1500ミリリットル以上の水分を摂取する人

・一口の咀嚼(そしゃく)回数が30回以上の人

だとしています。

 

 

便秘治療の従来の治療法を覆す 

刺激性便秘薬は大腸がんのリスク

ガイドラインでは、刺激性便秘薬の飲み方について警鐘を鳴らしています

 

便秘薬は大きく2つに分けられます。1つは腸内の水分を増やして便を柔らかくして排出する「非刺激性」。もう1つは、大腸の働きを活発化させて排出する「刺激性」です。

 

ドラッグストアに並んでいる便秘薬の8割方が「刺激性」です。例えば、便秘薬として最もポピュラーな『コーラック』は「刺激性」の便秘薬です。ちなみに、同じコーラックでも『コーラックFirst』や『コーラックⅡ』は「非刺激性」です。

 

刺激性便秘薬は、急に便秘になった時の応急処置として服用するためのもので、「使用上の注意」にも『長期にわたり連続して使用しないこと』と明記されています。

 

刺激性便秘薬には「アントラキノン誘導体」という成分が含まれ、これを長期に連続して服用していると腸の内部が黒く変色する大腸メラノーシスを引き起こし、大腸がんのリスクが高まることがわかっています。

 

服用は「週に2回まで」が1つの基準で、それ以上は深刻な事態を引き起こしかねないと、ガイドラインでは警鐘を鳴らしています。

 

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生活習慣改善は「弱い推奨」

便秘の治療といえば、適切な食事と適度な運動といった生活習慣の改善を真っ先に思い浮かべる人が多いと思います。実際、ヨーグルトなどのプロバイオティクスや食物繊維の摂取、腹壁マッサージなど、ネット上には改善策が満ちあふれています。

 

ところが、ガイドラインでは、生活習慣の改善は、積極的に勧めるほどの効果はないとして「弱い推奨」という表現になっています。

 

例えば、よく言われる食物繊維の食べることについては、「過剰摂取は便秘を増悪(ぞうあく・悪化させること)する」とし、多く食べ過ぎると便秘が悪化すると指摘しています。

 

もっとも、明らかに不足している場合の摂取には「効果はある」としていますので、適量であることがポイントのようです。悩み苦しんだ揚げ句に、食物繊維中心の食生活をおくってはならないということです。

 

また、運動や腹壁マッサージも医学的根拠のレベルは低い、としています。コストもかからず、副作用も皆無なので「やらないよりはやった方が良い」ものの、便秘解消の「プラス効果はあまり期待できない」としています。

 

さらに、大黄やセンナ、アロエなどの生薬は、飲み続けると大腸にトラブルをきたすことがあるので、「長期間の使用は避けるべき」としています。

 

 

便秘の新しい処方薬「ルビプロストン」

ガイドラインは、便秘治療の従来の対策を「医学的根拠がない」と退けています。

 

では、「医学的根拠のある」治療法とは?

 

ズバリ、「ルビプロストン(商品名・アミティーザ)」という処方薬をあげています。

 

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このルビプロストンは、2012年に約30年ぶりに保険適用となった処方薬です。具体的には、医療法人社団関城会淀縄医院の公式サイトの説明を以下に引用します。

 

ルビプロストンは、小腸粘膜上皮細胞に存在するタイプ-2 クロライドイオンチャネル(ClC-2)に作用することで、腸管内への水分の分泌を促進し、便を軟らかくして排便を促す、まったく新しい機序の便秘の治療薬です。 従来から便秘の治療に使われている酸化マグネシウムが大腸内の浸透圧を高めて体内から水分を引き出し、便を軟らかくして排便を促すのと似ていますが、ルビプロストンが小腸に働くのに対して酸化マグネシウムは大腸に主に働く点が異なり、下痢にはなりにくく自然な排便になるのが特徴です。 国内での重度の慢性便秘症の方(自発排便回数が1週間に平均3 回未満の状態が6カ月以上持続し、器質性や二次性の便秘を除外した方)を対象に行った治験では、排便回数をほぼ毎日に改善することが示れました。さらに約1年間の長期第3相臨床試験では、長期間の投与で効果が減弱せず、薬剤に対する耐性が生じにくいことが確認されています。

 

 残念ながら、この薬はドラッグストアなどで市販はされていません。病院で処方してもらう必要があります。

 

また、ルビプロストンは、現状では薬価が高い(1錠156.6円)ため、既存の便秘薬(1錠6円前後)を服用してみても十分な効果が得られない場合に使用するのがいいかもしれません。

 

ただし、気分が悪くなったり、逆に下痢になったりという副作用も報告されていることをお知らせしておきます。

 

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慢性便秘症診療ガイドライン2017

慢性便秘症診療ガイドライン2017

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以上、『日本初『便秘診療のガイドライン』は従来の治療法を覆し、新しい処方薬を紹介!』でした。

赤い理由-----郵便ポスト、神社の鳥居、広島カープ、サンタクロース

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私たちの視界に飛び込んでくる色で、最も目立つのは何と言っても赤でしょう。

 

とてもエネルギッシュで活発なイメージ、若さを感じます。

 

そんな赤色ですが、赤と言えば何が思い浮かぶでしょうか?

 

たいていの人は、郵便ポスト、神社の鳥居、広島カープ、サンタクロースのいずれかを答えるのではないかと思います。

 

そこで、これらの「赤い理由」について調べてみました。

 

 

 

赤の性質

赤はエネルギーを感じさせるアクティブな色です。太陽や火など、人間が生きていくために必要なものと多く結びついていて、他のどの色よりも強い刺激があります。

 

また、気分を高揚させる働きから元気を与えてくれ、スポーツでは闘争心を強く駆り立ててくれます。

 

赤の心理効果としては、以下のものがあります。

 

・活力を感じ気持ちを前向きにさせる。

・アドレナリンを分泌し興奮を促す。

・熱や暖かさを感じる。

・食欲を増進させる。

・時間経過を早く感じさせる。

 

 

赤い理由---郵便ポスト

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日本で郵便制度が始まった1871年(明治4年)、設置された郵便ポストの数は全国で62ヶ所でした。(ちなみに、現在は約19万ヶ所)

 

そして、当時のポストの色は黒色でした。ただ、公衆便所が広く普及し始めた時期と重なったこともあり、黒い郵便箱の「便」を見た通行人が郵便箱を「垂便箱(たれべんばこ=トイレ)」と勘違いしたケースがあったようです。

 

また、当時は街灯などがほとんど整備されていなかったため、夜間は見えづらいという問題がおこりました。

 

そこで、1901年(明治34年)、火事に強い鉄製の赤色丸形ポストを試験的に導入した際に、「目立つ色」として赤色に変えられました。他の目立つ色も考えられましたが、郵便制度のお手本としたイギリスも赤色ポストだったこともあり、赤が選ばれました。

 

以降、赤くて丸いポストの時代が続きますが、1949年(昭和24年)、大量の郵便物の差し出しや取り集め作業のスピードアップをはかるため角型となり、今日にいたっています。

 

日本をはじめインド、インドネシア、タイ、韓国、台湾のポストの色が赤いのは、イギリスから郵便制度を導入した国やイギリスの旧植民地だった影響があります。

 

他には、アメリカやロシアは青色、ドイツ、フランスなどヨーロッパ諸国は黄色が主流です。中国やアイルランドは深緑色となっています。

 

 

赤い理由---神社の鳥居

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最初に断っておきますが、「神社の鳥居=赤色」ではありません。神社の総本山ともいうべき伊勢神宮の鳥居をはじめ、赤色ではない鳥居はたくさんあります。

 

ただ、そうは言っても「赤い鳥居」は私たちのイメージに強く残っています。その代表格は、外国人観光客に大人気の伏見稲荷大社(京都府)でしょう。

 

そこで、伏見稲荷大社のサイトを覗いてみると、赤い鳥居の理由が明確に述べられていました。

 

朱色は、魔力に対抗する色ともされていて、古代の宮殿や神社仏閣に多く用いられています。当社に限って云えば稲荷大神様のお力の豊穣を表す色と説明されています。
ただ、お稲荷さんだけが朱塗りではなく、朱塗りの神社は他にも多くあります。
また朱の原材料は水銀=丹です。これは昔から木材の防腐剤として使われてきました。

 

つまり、朱色(赤色)が魔力に対抗し、災厄を防ぐ色であること、神様のお力を高める効果が期待されること、そして現実的は建築資材に使用されている木材の防腐剤の役割を果たすこと、ということです。

 

赤色が魔力に対抗し、災厄を防ぐパワーを持つという考えは中国から伝来したようです。もともと赤は人の手では出せない色であり、それだけに特殊な力を秘めている考えられました。

 

古くから恐れられていた病気に、疱瘡(天然痘)がありますが、これは疱瘡神という神様の祟りだとされていました。

 

この疫病神は赤色を嫌がるという言い伝えがあり、疱瘡神を追っ払ったり、逆に疱瘡神にとりつかせたりするために、赤いだるまを飾ったりしていました。これが、だるまが赤い理由となっています。

 

 

赤い理由---広島カープ

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プロ野球・広島カープといえば赤です。カープは「鯉」だから赤と思っていましたが違いました。また、球団創設時からずっと赤ではありませんでした。

 

初期のユニフォームは、ロゴや袖口、襟周りにこそ赤い縁取りがなされていましたが、帽子やアンダーシャツは紺色でした。まだ、チームカラーが赤とはいえませんでした。

 

本格的に赤が採用されたのは1975年、初優勝を果たした年です。日本球界初の外国人監督となったジョー・ルーツは、前年まで3年連続最下位だったチームの再建を託されました。

 

ルーツ監督がまず着手したのが帽子の色。燃える闘志を前面に出すべく、自らの古巣のクリーブランド・インディアンズのチームカラーだった赤を帽子とヘルメットの色に変えました。カープの代名詞となった「赤ヘル軍団」はここから生まれたわけです。

 

ただ、赤ヘル生みの親のルーツ監督は、開幕早々の4月に審判に暴行したことの責任をとって辞任しました。しかし、その後を受けてコーチから昇格した古葉竹識監督は「赤ヘル旋風」を巻き起こし、球団創設25年目にして初優勝を達成しました。

 

ちなみに、今の赤ヘルは親会社のマツダが製造しているアテンザの車体色と同じです。色の名前は「ソウルレッドプレミアムメタリック」。テレビで見ていても光沢のあるいい色だと感じていましたが、新開発の塗装技術とのことです。

 

 

赤い理由---サンタクロース

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サンタクロースのモデルは、4世紀にミラ(現在のトルコ周辺)で活躍した聖ニコラスだとされています。

 

聖ニコラスは、恵まれない子どもたちや貧しい人々に施しをしていた司教でした。年の暮れ、ある家族が貧しさのあまり娘を売りに出そうとしていました。それを聞きつけた聖ニコラスは、その家の煙突に銀貨を投げ入れました。

 

銀貨は暖炉の下で乾かしていた靴下の中に入り、おかげで家族は娘を売りに出さなくてすみました。

 

このエピソードが、サンタクロースが靴下にプレゼントを入れるという伝説の元となりました。そもそも、サンタクロースというのは、聖ニコラス(セント・ニコラス)のオランダ語源(シンタ・クラース)でした。

 

そこで、サンタクロースの赤い色についてですが、カトリック教会では白装束に赤いガウンが司教の正式な衣装となっているところに由来します。

 

赤いガウンは、人々の幸せのために、自らの肉体や命を惜しむことなく活動していく司教として、流す血の色を示す覚悟の表れを示すものとされています。

 

そして、17世紀、アメリカに植民したオランダ人たちが「シンタクロース祭」を持ち込み、枕元に吊した靴下にプレゼントが入っているという風習と、赤い服を着たサンタクロース像がクリスマスのシンボルとして一般化していきました。

 

ちなみに、赤い服のサンタクロースのイメージを世界中に定着させたのは、炭酸飲料のコカ・コーラだという説があります。そういえば、コカ・コーラのイメージも赤です。

 

実際、コカ・コーラの公式サイトでは、サンタクロースとの関係を明確に述べています。

その昔、サンタクロースに対するイメージは、国や地域によって大きく異なっていたと言われていました。

その中で、1931年(昭和6年)にコカ・コーラ社がクリスマスキャンペーン用に、その当時コカ・コーラ社の広告アートを担当していたハッドン・サンドブロムに依頼して制作した広告によって、赤い服を着た、白髭で陽気な微笑を浮かべたサンタクロースが描かれました。

以降、コカ・コーラの世界進出に伴って、このサンタクロースのイメージもあわせて世界的に定着していったと言われています。 

 

以上、『赤い理由-----郵便ポスト、神社の鳥居、広島カープ、サンタクロース』 でした。

映画『絞死刑』(大島渚監督)を観た。死刑執行でも死なないことがある?

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                     東京拘置所

 

大島渚監督の映画『絞死刑』を観る機会がありました。この映画は、死刑執行後も絶命しなかった青年を主人公にして死刑制度や在日外国人の問題を描いたものです。

 

絞首刑で死ななかったという設定には驚き、映画ですからフィクションであることは十分に承知の上で、あの麻原彰晃に死刑が執行されたこともあって、改めて、死刑執行でも死なないことはあるのかを調べてみました。

 

 

映画『絞死刑』(大島渚監督)

『絞死刑(こうしけい)』は1968年公開の大島渚監督作品です。

 

主人公の在日朝鮮人Rは強姦致死の罪で絞首刑に処せられました。しかし、Rは刑の執行後も絶命せず、刑のショックで記憶をなくし、心神喪失状態になってしまいます。

 

刑事訴訟法第479条は、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態にある時は、法務大臣の命令によって執行を停止する」としているため、刑務官たちは再執行のためにRに記憶と罪の意識を取り戻させようと躍起になります。

 

忠実に再現したという当時の死刑場を舞台に延々と続くやりとりは、佐藤慶や渡辺文雄、小松方正、小山明子らが名優ぶりを発揮したこともあって、死刑制度の根本的な問題から在日外国人の差別の問題、さらには貧困を背景とした犯罪心理を鋭く描いていました。

 

そこで、やはり気になるのが、そもそもの設定、すなわち、死刑が執行されても死なないという点です。映画ですからフィクションであることは十分に承知の上で調べてみると、日本にも1例だけ、死刑執行でも死ななかったという記録が残されていました。

紹介した作品はこちら↓ 

 

石鐵県死刑囚蘇生事件

1872年(明治5年)、石鐵県(いすづちけん)久米郡(現在の愛媛県東温市)の農民・田中藤作は一揆の際に放火したとして死刑を宣告されました。

 

死刑執行後、親族が遺体を引き取り、棺桶に入れて運んでいる途中にうめき声が聞こえたため、ふたを開けたところ、藤作が蘇生していたといいます。

 

親族は石鐵県庁に蘇生したという事実を届け出て指示を仰ぎました。翌年の1873年、県庁経由での中央政府の指示は「スデニ絞罪処刑後蘇生ス、マタ論ずベキナシ。直チニ本本籍ニ編入スベシ」というものでした。

 

つまり、生き返ったとしても既に法に従って刑罰としての執行は終わっている以上、再び執行する理由はない、よって戸籍を回復させよということです。

 

当時は「石鐵県死刑囚蘇生事件」と言われて、大きな話題となったようです。

 

また、現代においてもこの事件は多くの小説など作品のモチーフに使われています。

 

太田蘭三の小説『白の処刑』は、えん罪で死刑判決を受けた死刑囚が、レスリングで鍛えた首のおかげで執行後に生き返り、釈放されて真犯人を追うというものです。小説の中で、法務省の官僚が釈放する根拠の前例としてあげているのが、石鐵県死刑囚蘇生事件でした。

 

紹介した作品はこちら↓

白の処刑 (講談社文庫)

白の処刑 (講談社文庫)

 

 

 

死刑執行で死なないことはない

石鐵県死刑囚蘇生事件や同事件をモチーフにした小説などの影響か、「今も、死ななかった死刑囚が釈放されている」という都市伝説まがいの話があります。

 

実際、生き返って釈放されるために必死に首を鍛えていた死刑囚が数多くいたそうです。

 

石鐵県死刑囚蘇生事件当時の絞首刑は、現在の死刑囚の体重を利用した落下式とは異なり、首に巻いた縄の先に石を吊り下げ、その重さで窒息死させるという方法でした。この方法だと、即死できずに少なくとも5秒以上は意識が残ることが医学的に実証されています。

 

現在では、前述のように死刑囚の体重を利用した落下式となっています。そして、実際に死刑執行に立ち会った元検察官の証言によると、死刑執行された囚人の身体は30分間はぶら下がったままにしておくのが通例となっているとのことです。

 

30分間もぶら下がったままでは確実に死亡します。万が一にも生き返ることはありません。蘇生の可能性はゼロということです。

 

 

おわりに

石鐵県死刑囚蘇生事件で中央政府が参考にしたのは、革命前のフランスでは絞首刑で稀に生き返る死刑囚がいて、国王が釈放していた事例です。

 

しかし、これは18世紀の話。石鐵県死刑囚蘇生事件も19世紀の話。いずれにしても、遠く昔の話ですが、それだけに都市伝説として語られていくのかもしれません。

 

以上、『映画『絞死刑』(大島渚監督)を観た。死刑執行でも死なないことがある?』でした。

「中学入試に英語」が急増中。2020年度以降は公立中高一貫校にも!?

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中学入試の受験科目といえば、国語・算数の2科目か国語・算数・理科・社会の4科目での受験が常識でした。

 

ところが、ここにきて英語を受験科目にする私立中学が急増しているとのこと。その背景には、小学校での英語が正式教科となることがあります。2020年度以降は、私立中学のみならず、公立の中高一貫校にも英語入試が導入されることになるでしょう。

 

 

 

「中学入試で英語」が急増中

中学入試の受験科目に英語を入れる私立中学が急増中です。今年(2018年)は首都圏と近畿圏の約3割にあたる137校で英語入試が行われました。

 

英語入試はもっぱら海外からの帰国子女を対象に行う学校はあったものの、数年前から一般枠でも行うところが増えてきたのが大きな傾向です。

 

多くの学校は国語と算数を必須とし、社会・理科と英語のいずれかを選ぶ選択型や国語・算数・英語から2教科を選択する形式ですが、英語を必須とする学校も徐々に増えてきているのが現状です。

 

 

小学校英語 2020年から正式教科に

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2008年度から小学5・6年生を対象に外国語活動として、小学校での英語教育が始まり、2011年度に「小学5年生から必修」となりました。

 

そして、2020年度からは「小学3年生からの必修化」と「小学5年生からの教科化」が完全実施されます。

 

これまでの小学校英語は「道徳」と同じような扱いでしたが、「教科化」ということは国語や算数と同じ扱いとなることを意味します。つまり、通知表に成績が記されるということです。

 

小学校での英語の扱いが大きく変わっていくことが、中学入試に大きな影響を与えていることは明らかでしょう。

 

 

慶応湘南藤沢中が英語入試を導入、開成は検討

慶應義塾湘南藤沢中等部が2019年入試から英語を試験科目とすると発表し、話題となりました。

 

小学校英語の教科化は2020年度からですが、私立の小学校ではすでに英語を正式に教えているところがかなりあります。

 

慶應義塾横浜初等部もその1つ。2013年に開校した同初等部の卒業生が、2019年4月に慶應義塾湘南藤沢中等部に推薦によって進学してくるタイミングに合わせ、一般の受験生の入試科目が国・算・理・社の4教科型と英・国・算の3教科型の選択制となったわけです。

 

つまり、英語入試の導入は、慶応の内部進学生と同等の英語力を持つ生徒を入学させるためだと考えられます。

 

慶應の例からもわかるように、附属(系列)の小学校を持ち、英語教育に力を入れている私立中学は、今後、入試に英語を課すところが増えていく可能性が大です。

 

一方、附属(系列)の小学校を持たない私立中学は、英語の入試は行わず、入学後に英語教育を行う方針のところが多いでしょう。

 

ただ、開成中学の校長が東京都内で開かれた大手進学塾のシンポジウムで、「中学入試に英語を入れると決めたわけではない。導入するとしたらどんな形が考えられるかを、学内で研究している段階だ」と話し、話題となりました。

 

開成中学校長の話は、英語入試に前向きだと解釈することも可能です。附属小学校を持たない私立御三家の一角が英語入試に踏み切れば、他校への影響は絶大なだけに、今後の動向が注目されます。

 

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公立中高一貫校も英語入試へ

2020年度に小学校で英語が正式教科になった以降は、公立中高一貫校でも英語入試が行われることが予想されます。国語や算数と同じ扱いになるわけですから、入試科目に入っても何の問題もないということです。

 

東京都立高校の入試では、独自のスピーキングテストを実施することが検討されており、2019年度から試行するとのことです。

 

都立の中高一貫校も、従来の適性検査と合せて、基礎的な英語力をテストする方向に向かうことは自然な流れだといえるでしょう。

 

実際、2019年4月、さいたま市立大宮国際中等教育学校が開校しますが、同校が発表した入試問題のサンプルには、英語のリスニング問題が出題されていました。

 

もはや、公立も英語入試が行われる流れが始まっているということです。

 

 

中学入試の英語のレベルは?

それでは、中学入試の英語のレベルはどの程度なのでしょうか?2017年の大妻中野中学校の入試問題を見てみましょう。

 

次の1~7 の( )に入る最も適切なものを(ア) ~(エ)の中から 1 つ選び、記号で答えなさい。

1. “(   ) I use your dictionary?” “Sorry, you can’t. I’m using it now.”

  (ア) Shall  (イ) May  (ウ) Must  (エ) Will

2. Could you give me (   )?

  (ア) some advices  (イ) an advice  (ウ) some advice  (エ) any advices

3. If you want this pen, I’ll give (   ).

  (ア) you it(イ) it you  (ウ) it to you  (エ) you to it

4. “(   ) going?” ‘‘I’m OK. Thank you for asking me.’’

  (ア) How’s it  (イ) How’s you  (ウ) How do you  (エ) How’s

5. This computer has not (   ) for a long time.

  (ア) been used  (イ) used  (ウ) being used  (エ) been using

6. “I watched an (  ) movie yesterday.” “It was great. Could you lend it to me? ”

  (ア) excited  (イ) exciting  (ウ) boring  (エ) bored

7. (   ) you go, you’ll be on my mind.

  (ア) However  (イ) Whichever  (ウ) Wherever  (エ) Whatever

 

いかがでしょうか。何だか驚きますよね。もっと幼稚な問題、というかクイズのようなものを想像していましたが・・・。

 

この問題は明らかに英文法の知識を問うもの。助動詞や授与動詞、現在完了など中学1・2年生レベルです。このまま中学の定期テストに出題されても何らおかしくはありません。

 

小学6年生の子どもに英語の授業の中身を聞いてみると、英語の歌やゲームなどしかやっていないと言います。それでは、この問題文を読むことすらできないでしょう。

 

実際、中学入試の英語のレベルは様々で、英検4級程度から準1級と幅が広いようです。ちなみに先にあげた慶應義塾湘南藤沢中等部は、英検2級から準1級程度としています。

 

 

おわりに

現状の中学入試では英語が必須ではなく、選択です。しかし、2020年度以降は正式教科となるわけですから、必須にする学校は増えてくるでしょう。

 

とはいえ、小学校の英語教育は、地域や学校、外国人講師の配置、教師の英語力、授業の形態などでかなりの差が生まれてきます。不幸にも環境に恵まれなかったどうなるのか?

 

そこで、大手進学塾の出番です。小学校英語の教科化は、進学塾のビジネスチャンスを拡大させているだけという気がしないでもないのですが・・・。

 

いずれにしても、「中学入試を考えるなら英語が必要」という時代が近づいています。

 

以上、『「中学入試に英語」が急増中。2020年度以降は公立中高一貫校にも!?』でした。

「国民民主党代表選挙 候補者討論会」に行ったら、まじめな議論が行われていた!

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先日、国民民主党代表選挙候補者討論会なるものが大阪駅近くのホテルで開催され、友人に誘われて一緒に行ってきました。

 

ちまみに私は党員でも何でもないのですが、野次馬気分で出席したところ、なかなかまじめな政策の議論が行われていて、少々驚きました。

 

そこで、この討論会をレポートしてみます。

 

 

国民民主党代表選挙

国民民主党は、希望の党と民進党、無所属の議員らが今年3月に結党しました。これまでは、希望の党代表だった玉木雄一郎衆議院議員と民進党代表だった大塚耕平参議院議員が共同代表を務めていましたが、任期満了により退任。

 

そこで、同党の国会議員、地方議員、党員の投票による代表選挙が9月4日に実施されることになりました。

 

立候補者は2人。同党共同代表だった玉木雄一郎衆議院議員と元内閣府大臣政務官の津村啓介衆議院議員です。両者の詳しい経歴は同党HPをご覧下さい。

 

www.dpfp.or.jp

 

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支持率1%の政党だけど盛況

国民民主党の代表選挙は8月22日から始まっています。ところがいっこうに盛り上がりません。マスコミの取り上げ方も、政治面は自民党総裁選挙、社会面は甲子園準優勝の金足農業ばかり。まあ、支持率が1%の政党ですから、仕方がないと言えばそれまでなのですが。

 

ですから、知人(同党所属の市議)から「国民民主党代表選挙候補者討論会」のお誘いを受けた時は乗り気ではありませんでした。ただ、当日は会場近くで用事があったこともあり、知人に義理立てして行ってみることにしました。

 

とにかく支持率1%の政党で、マスコミでも話題に上ることはほとんどないという状況ですので、会場がガラガラではないのか、もしかしたら出席者は数人ということでは、といった事が想像されました。

 

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候補者討論会会場

しかし、会場に入ってみると、なかなかの盛況ぶり。用意されたイスはすべて埋まっているという状況でした。

 

と言っても、300人ほどです。自民党の総裁選挙ならその10倍は集まるのでしょうか。

 

 

討論会の最初は候補者スピーチ

それなりに熱気のある雰囲気の中、討論会がスタートしました。最初は候補者2人によるスピーチです。

 

まずは、玉木雄一郎氏です。希望の党、国民民主党と代表を経験し、テレビ出演も多くこなしているだけあって、終始、余裕の表情です。大阪での開催だけあって、「まずは大阪桐蔭の優勝、おめでとうございます」から入るあたり、さすがと思わせます。

 

一方の津村啓介氏。衆議院議員当選6回の中堅ですが、不慣れなせいか、最後まで緊張気味。でも、丁寧な言葉遣いで語りかけるような口調には、とても好感がもてました。近畿圏での開催を念頭にか「豪雨被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます」という言葉から入る気遣いをしていました。

 

 

玉木雄一郎氏と津村啓介氏の政策

2人の候補者の語った政策をご紹介します。

 

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玉木雄一郎氏

まず、玉木氏はネットでも少し話題となった「コドモノミクス」を力説しました。具体的には、第3子を出産したら1000万円を給付するというものです。

 

気になるのはその財源ですが、「子ども国債」の発行、つまり借金です。子どもの成長に必要な予算は借金しても、子どもが健全な成長をとげれば良き納税者となり、また、人口減少に歯止めがかかり経済成長にもつながって、借金した額を超える税収が入ることも不可能ではないと言います。

 

一方、高齢者福祉に要する予算は税金と保険料で賄うとのこと。現状は高齢者福祉も借金して賄っているが、これは将来的にはリターンがないのでやめる。これまで頑張っていただいた高齢者への福祉予算は、税金という形で全世代が負担するのが望ましいということでした。

 

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津村啓介氏

次に、津村氏は、ポスト・アベノミクスの新しい経済政策を訴えました。具体的には、インフレ2%目標を撤回し、マイナス金利政策をストップすると言います。マイナス金利政策は借金している者、すなわち大企業だけが得をする政策であり、一般消費者には文字通りマイナスにしかならないと力説しました。

 

また、タブーなき政策提言として、尊厳死(安楽死)の合法化に向けた議論を行うということです。日本人の生き方、死生観を大きく左右するテーマに果敢に挑んでいきたいとのことでした。

 

 

会場との質疑応答

候補者からの一方的な演説だけに終わることなく、会場の出席者との質疑応答も行われました。党員として頑張って活動している人にとっては、日頃の疑問などをぶつける良い機会となり、とてもいい企画だと思いました。

 

約40分近く行われ、参議院議員選挙・統一地方選挙対策、憲法改正、大阪維新の会との関係などに多くの質問が出されました。

 

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討論会参加者との質疑応答

それ以外で面白いと感じたのは、日本が核兵器禁止条約を批准していない点についての質問でした。

 

玉木氏は「政権を取ったらすぐに批准します」とキッパリと答えたのに対し、津村氏は「党内の議論、アメリカとの関係を考慮して判断する」と言うのにとどめました。

 

こうした公開の討論会では、ズバリ言い切った方がウケます。討論会慣れしている玉木氏はすべて読み切っての発言でしょう。「ウケ狙い」という感じすらしました。

 

一方の津村氏の答えは、官僚の国会答弁みたいで何の面白みもありません。ただ、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶をめざすのは当然だが、アメリカとの関係を考えるとここで一刀両断で結論を言うことはできないという意識が働いたものと推測されます。

 

選挙ウケする言動と政策に真摯に向き合う言動とを、同時に見ることができた瞬間でした。個人的には、津村氏の答えには、無味乾燥だけれども安定感を感じました。民主党政権失敗の原因の1つは、普天間基地の鳩山由紀夫氏の不用意な発言でしたから。

 

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おわりに

こうした討論会には初めて参加したのですが、総じて、まじめな議論が行われていたという印象です。アメリカ大統領選挙のような中傷合戦など皆無で、互いにリスペクトする姿勢も見られました。

 

ただ、代表選挙が終わった途端、バラバラ感が出てしまうのもこの党の特徴でもありますが・・・。

 

誘ってくれた友人の評価は、「野党党首なら玉木、政権を担うなら津村」と言っていました。

 

以上、『「国民民主党代表選挙 候補者討論会」に行ったら、まじめな議論が行われていた!』でした。