◆スノボの技名カッコ良すぎ
ウインタースポーツで年々、脚光を浴びているのがスノーボード。
平昌オリンピックのスノーボードハーフタイプでは、平野歩夢選手が銀メダルを獲得したことを覚えておられるでしょうか。メダル獲得の決め手となった大技が、「ダブルコーク1440」でした。
「おお、『ダブルコーク1440』、見事にきまりました」
「カッコいいですねー」
「これは『ローストビーフ』ですか?」
「いえ、『チキンサラダ』かもしれません。おしゃれですね」
これって、どこかのファーストフードでの店員とのやりとりではありません。スノボーの実況放送での、解説者とのやりとりです。
スノボーの技の名前、カッコ良すぎですね。それに、とてもユニークでもあります。
◆「ダブルコーク1440」のダブルコークとは?
平野選手の大技「ダブルコーク1440」。世界最高難易度を誇ります。どこがどうすごいのか。そのカギは技の名前にありそうです。
まずは、「ダブルコーク」から。コカコーラ2本ではありません。
ダブルは、2倍あるいは2重ということ。これは問題なくわかります。
コークがちょっと難しい?
スノボの回転技は大別して、スピンとフリップに分かれます。
スピンは横方向の回転、水平に回っていく技。一方、フリップは縦方向の回転、頭が上下逆さまになって回転する技です。
そして、この横回転のスピンと縦回転のフリップを同時に行う技を「3D」といいます。
この3Dの1つにコークがあるのです。コークとは「コークスクリュ-」の略称。そのまま訳すと「栓抜き」となりますが、ワインなどのコルク栓を抜く栓抜きです。
あれは、らせん状になっています。つまり、コークとはらせん階段のように、斜めに回転することなのです。
したがって、コークが斜め方向に2回転するので、ダブルコークと呼ばれているわけです。
◆「ダブルコーク1440」の1440とは?
次に、ダブルコーク1440の1440です。
「forteen forty(フォーティーン・フォーティ」と発音します。
この数字は、どのくらい回転したのかを示しています。
1回転すると360度、2回転だと720度、2回転半だと900度ですよね。
つまり、1440ということは、「1440÷360=4」で4回転した技ということになります。
フィギュアスケートでは、普通に「3回転ジャンプ」とか「トリプル」とか言っていますが、スノボーでは同じ回転を度数で言い表すということなのです。
まとめると、ダブルコーク1440とは、斜めに2回転回りながら、同時に横方向にも4回転する技、ということになります。
文章で書いてしまうと素っ気ないですが、パフォーマンスとして人間の域を超えているとも言われる大技であることは理解できます。
ちなみに、先ほどの「ローストビーフ」や「チキンサラダ」は、ジャンプ台の飛び方の技をいいます。
◆感性重視のスノボー採点
さて、最高難易度の「ダブルコーク1440」ですが、これを決めれば最高の得点が与えられるかと思いきや、点数は定まってはいません。
全日本スキー連盟の公式サイトでは、平野選手が出場した「ハーフタイプ」での点数の付け方について記しています。
演技中に行われる技の高さ、難易度、完成度の高さ、演技全体の技の多様性を含む全体的な印象で採点される。
「全体的な印象」とは、きわめて曖昧です。フィギュアスケートでは技ごと、演技項目ごとに加点・減点が明確に定められているのに比較して、スノボは審査員の主観・感性で採点される印象です。
そうなると、テレビの実況放送で解説者が、「かっこいい」「おしゃれ」を連呼していたのもわかります。そういう主観的な要素で採点されるわけですから。
実際、元プロスノーボダーは言います。
審査のポイントは『総合的な印象』。全体を見て印象点というのがついてくるので、同じ滑りをした人が2人いたとしたら、ジャッジの人がかっこいいと思った方が点数が高くなる。
スノーボードに触ったことすらないのに言うのも気が引けますが、採点の基準を明確に定めれば、もっとメジャーなスポーツに発展していくのではないかと思います。主観や感性で評価されるのは芸術ですから。
以上、『スノボーの技の名前「ダブルコーク1440」 カッコ良すぎ』でした。