最近、リビング学習なる言葉をよく耳にするようになりました。
東大合格者の半数は、勉強部屋ではなくてリビングで勉強していたと聞くと、「それなら我が子も」となるのが世の常。でも、リビングで勉強すると本当に成績が良くなるのでしょうか。勉強する場所が決定打となることなはいと思うのですが・・・。
リビング学習の効果
東北大学の瀧靖之教授は、16万人の脳画像を分析して、リビング学習の効果を説明しています。
例えば、1階のリビングダイニングで食事をして家族団らんしたり、テレビを見たりした後に、2階の自分の部屋で勉強しようとすると、勉強へのハードルが非常に高くなります。寒い冬なら、なおさらですよね。
けれどもリビング学習なら、ごはんを食べた後に3歩で勉強にとりかかれます。勉強とそれ以外の境界をなくし、生活の一部のようにすると勉強がいやだという感覚はなくなる。ごはんを食べてのんびりした後に「さあ勉強するぞ」となるから、そこにハードルができて勉強がいやになるのです。
つまり、勉強へのハードルを下げるということでしょう。確かに、食事後に「そろそろ勉強するか」と思っていた矢先に、「早く、勉強しなさい」と親から言われ、一気にやる気をなくすということもおこらないかもしれません。
また、リビング学習だと集中力がつくとのこと。リビングでは当然、親ががテレビを見ていたり、兄弟がゲームをしたいたりして雑音が多くあります。そのなかで勉強するわけだから、否応なく集中力がつくというのです。
試験会場は何だかざわざわしているもので、そこにいちいち気をとられていたら、問題に集中することができないのは確かだと思います。
『東大脳の育て方』という本には、東大生の83%がリビングで勉強していたと書かれています。
この本には、東大の現役学生、OB、また、TBSのクイズ番組『東大王』に出演している伊沢君らに、子ども時代の生活習慣や親の関わりについてインタビューを重ね、その共通点を解き明かし、東北大学の瀧教授が分析を加えています。
ですから、リビング学習の効果について、学問的に立証されているということでしょう。しかし、です。
「場所」は決定打ではない
私は、もう30年以上も前に、早稲田大学政治経済学部を受験しました。自分で言うのも何ですが、メチャクチャに勉強しました。でも、勉強したのは私にあてがわれた子ども部屋。エアコンなどあるはずもなく、夏はタオルを首からぶら下げて上半身裸で、冬は毛布にくるまって。
当時は、「ながら勉強」といって、テレビを見ながら、ラジオを聞きながら、家族と話をしながら、というのは絶対にNGでした。家族のいるリビングで勉強なんて、もってのほか、でした。
もちろん、私がリビングで勉強していたら、もっと成績が良くなっていたかもという可能性もゼロではありません。しかし、そうでなくても第一志望の大学に合格できたのですから、やはり、勉強する「場所」が決定打とはならないと思うわけです。
子どもの学習への意欲は、知識欲や向上心、達成感、将来への夢・希望などが刺激されてスイッチが入るもので、場所から始まるものではないと思うのです。
親として家の中に子どもの学習に向く場所に気をつかうことは必要だと思います。でも、「場所」は決定打ではないということ。それを整えて、「もう大丈夫」と安心してしまっては何の意味もなさなくなります。
ちなみに、私の子どもは高校3年生ですが、リビングで勉強しています。ですから、自らに言い聞かせるためにこれを書き、紹介した本を読んでいます。
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以上『東大合格者の半数はリビング学習というけれど・・・。場所は決定打にならないと思う。』でした。