「中学入試に英語」が急増中。2020年度以降は公立中高一貫校にも!?

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中学入試の受験科目といえば、国語・算数の2科目か国語・算数・理科・社会の4科目での受験が常識でした。

 

ところが、ここにきて英語を受験科目にする私立中学が急増しているとのこと。その背景には、小学校での英語が正式教科となることがあります。2020年度以降は、私立中学のみならず、公立の中高一貫校にも英語入試が導入されることになるでしょう。

 

 

 

「中学入試で英語」が急増中

中学入試の受験科目に英語を入れる私立中学が急増中です。今年(2018年)は首都圏と近畿圏の約3割にあたる137校で英語入試が行われました。

 

英語入試はもっぱら海外からの帰国子女を対象に行う学校はあったものの、数年前から一般枠でも行うところが増えてきたのが大きな傾向です。

 

多くの学校は国語と算数を必須とし、社会・理科と英語のいずれかを選ぶ選択型や国語・算数・英語から2教科を選択する形式ですが、英語を必須とする学校も徐々に増えてきているのが現状です。

 

 

小学校英語 2020年から正式教科に

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2008年度から小学5・6年生を対象に外国語活動として、小学校での英語教育が始まり、2011年度に「小学5年生から必修」となりました。

 

そして、2020年度からは「小学3年生からの必修化」と「小学5年生からの教科化」が完全実施されます。

 

これまでの小学校英語は「道徳」と同じような扱いでしたが、「教科化」ということは国語や算数と同じ扱いとなることを意味します。つまり、通知表に成績が記されるということです。

 

小学校での英語の扱いが大きく変わっていくことが、中学入試に大きな影響を与えていることは明らかでしょう。

 

 

慶応湘南藤沢中が英語入試を導入、開成は検討

慶應義塾湘南藤沢中等部が2019年入試から英語を試験科目とすると発表し、話題となりました。

 

小学校英語の教科化は2020年度からですが、私立の小学校ではすでに英語を正式に教えているところがかなりあります。

 

慶應義塾横浜初等部もその1つ。2013年に開校した同初等部の卒業生が、2019年4月に慶應義塾湘南藤沢中等部に推薦によって進学してくるタイミングに合わせ、一般の受験生の入試科目が国・算・理・社の4教科型と英・国・算の3教科型の選択制となったわけです。

 

つまり、英語入試の導入は、慶応の内部進学生と同等の英語力を持つ生徒を入学させるためだと考えられます。

 

慶應の例からもわかるように、附属(系列)の小学校を持ち、英語教育に力を入れている私立中学は、今後、入試に英語を課すところが増えていく可能性が大です。

 

一方、附属(系列)の小学校を持たない私立中学は、英語の入試は行わず、入学後に英語教育を行う方針のところが多いでしょう。

 

ただ、開成中学の校長が東京都内で開かれた大手進学塾のシンポジウムで、「中学入試に英語を入れると決めたわけではない。導入するとしたらどんな形が考えられるかを、学内で研究している段階だ」と話し、話題となりました。

 

開成中学校長の話は、英語入試に前向きだと解釈することも可能です。附属小学校を持たない私立御三家の一角が英語入試に踏み切れば、他校への影響は絶大なだけに、今後の動向が注目されます。

 

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公立中高一貫校も英語入試へ

2020年度に小学校で英語が正式教科になった以降は、公立中高一貫校でも英語入試が行われることが予想されます。国語や算数と同じ扱いになるわけですから、入試科目に入っても何の問題もないということです。

 

東京都立高校の入試では、独自のスピーキングテストを実施することが検討されており、2019年度から試行するとのことです。

 

都立の中高一貫校も、従来の適性検査と合せて、基礎的な英語力をテストする方向に向かうことは自然な流れだといえるでしょう。

 

実際、2019年4月、さいたま市立大宮国際中等教育学校が開校しますが、同校が発表した入試問題のサンプルには、英語のリスニング問題が出題されていました。

 

もはや、公立も英語入試が行われる流れが始まっているということです。

 

 

中学入試の英語のレベルは?

それでは、中学入試の英語のレベルはどの程度なのでしょうか?2017年の大妻中野中学校の入試問題を見てみましょう。

 

次の1~7 の( )に入る最も適切なものを(ア) ~(エ)の中から 1 つ選び、記号で答えなさい。

1. “(   ) I use your dictionary?” “Sorry, you can’t. I’m using it now.”

  (ア) Shall  (イ) May  (ウ) Must  (エ) Will

2. Could you give me (   )?

  (ア) some advices  (イ) an advice  (ウ) some advice  (エ) any advices

3. If you want this pen, I’ll give (   ).

  (ア) you it(イ) it you  (ウ) it to you  (エ) you to it

4. “(   ) going?” ‘‘I’m OK. Thank you for asking me.’’

  (ア) How’s it  (イ) How’s you  (ウ) How do you  (エ) How’s

5. This computer has not (   ) for a long time.

  (ア) been used  (イ) used  (ウ) being used  (エ) been using

6. “I watched an (  ) movie yesterday.” “It was great. Could you lend it to me? ”

  (ア) excited  (イ) exciting  (ウ) boring  (エ) bored

7. (   ) you go, you’ll be on my mind.

  (ア) However  (イ) Whichever  (ウ) Wherever  (エ) Whatever

 

いかがでしょうか。何だか驚きますよね。もっと幼稚な問題、というかクイズのようなものを想像していましたが・・・。

 

この問題は明らかに英文法の知識を問うもの。助動詞や授与動詞、現在完了など中学1・2年生レベルです。このまま中学の定期テストに出題されても何らおかしくはありません。

 

小学6年生の子どもに英語の授業の中身を聞いてみると、英語の歌やゲームなどしかやっていないと言います。それでは、この問題文を読むことすらできないでしょう。

 

実際、中学入試の英語のレベルは様々で、英検4級程度から準1級と幅が広いようです。ちなみに先にあげた慶應義塾湘南藤沢中等部は、英検2級から準1級程度としています。

 

 

おわりに

現状の中学入試では英語が必須ではなく、選択です。しかし、2020年度以降は正式教科となるわけですから、必須にする学校は増えてくるでしょう。

 

とはいえ、小学校の英語教育は、地域や学校、外国人講師の配置、教師の英語力、授業の形態などでかなりの差が生まれてきます。不幸にも環境に恵まれなかったどうなるのか?

 

そこで、大手進学塾の出番です。小学校英語の教科化は、進学塾のビジネスチャンスを拡大させているだけという気がしないでもないのですが・・・。

 

いずれにしても、「中学入試を考えるなら英語が必要」という時代が近づいています。

 

以上、『「中学入試に英語」が急増中。2020年度以降は公立中高一貫校にも!?』でした。