サッカーW杯ロシア大会が開幕しました。
直前での突然の監督解任や親善試合での連敗など、いろいろと不安もありましたが、今回は何となくですがやってくれそうな気がしていました。そして、2大会ぶりに辛くも決勝トーナメント進出、ベスト16入りを果たしました!
今大会はNHKはじめ民放各局が、全64試合を生中継します。「テレビで応援するぞ」と気合いが入っている人も多いでしょう。
ただ、今回のロシア大会では、テレビ放映権料の高騰が大きな問題となっています。この傾向が続くと、やがて地上波テレビでも試合が中継されなくなるかもしれません。
スカパー、DAZNはW杯中継を断念
2018年6月に開幕したサッカーW杯ロシア大会は、NHKはじめ民放各局が分担して全64試合を生中継します。
ただ、今大会は、スカパー、DAZN、WOWWOWなど有料チャンネルでは1試合も中継されることはありません。
理由は放映権料の高騰。
特に、スカパーは2002年の日韓大会から2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会と3大会連続してW杯の放映権を獲得していましたが、高くなる一方の放映権料を理由に前回ブラジル大会から放映権獲得を断念しています。今回ロシア大会においても断念しています。
また、DAZNが事業を開始した際には、「サッカー中継で確固たる地位を築きたい。W杯やEUROの配信をめざしたい」とコメント。しかし、今回大会での放映権獲得については、その模索すら出来なかったのが実情のようです。
高騰し続けるW杯の放映権料
W杯ロシア大会1次リーグのテレビ中継は、6月19日のコロンビア戦がNHK、25日のセネガル戦が日本テレビとNHKBS1、28日のポーランド戦はフジテレビが行うことに決まっています。
2002年日韓大会からジャパン・コンソーシアム(JC:NHKと民放各局の共同制作機構)がFIFAから放映権を購入し、中継を行うという仕組みとなりました。
中継を行うために購入するという放映権料ですが、前回ブラジル大会から1.5倍に跳ね上がり、約600億円とみられています。うち、NHKが7割、民放各局が3割を負担するとみられています。
放映権料は右肩上がりに高騰し続けています。日本で初めてW杯が中継された1970年のメキシコ大会の放映権料は8千万円。この48年間で750倍になった計算です。
2002年日韓大会から急激に高騰し、60億円に。2014年ブラジル大会では400億円となって、CS放送は撤退し、地上波でもテレビ東京が放映権獲得を断念しています。
W杯中継のテレビ局は大赤字
莫大な放映権料を支払っても、世界的な人気を誇るW杯だけに、広告収入などで十分な見返りが見込めるはずだと素人的に考えがちです。
しかし、例えば、年間視聴率3冠王を誇る日本テレビが2016年決算で営業利益が減益となったのは、リオ・オリンピック関連の制作費がかさんだことが理由です。
スポーツのビッグイベントは多額の広告収入が見込める一方で、テレビ放映権料と制作費がそれを上回ってしまうようです。
実際、日本民間放送連盟(民放連)は、2010年南アフリカ大会から2大会連続で民放各局の収支が赤字になったと発表しています。放映権料の民放負担分と番組制作費の合計が、広告収入を軽く上回ったとしています。
そして、今回のロシア大会も「大赤字は確定的」と嘆きの声を上げているようです。
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やがて地上波も観られなくなる!?
前回ブラジル大会の放映権料の総額は2,000億円。その時は、日本が400億円を支払っていますので、全体の5分の1を占めています。
日本は中国やアメリカと比較してもサッカー人気は高く、W杯出場チームではダントツの経済大国。日本がW杯常連国となってからは、FIFAには「取れるところから取ろう」という思惑があるのではないかといぶかる関係者もいます。
さらに、2026年大会(開催地は未定)から出場国は48に増えるので試合数も増加。当然、放映権料はさらにアップしていくことになります。
日本が勝ち進めば視聴率もグンと跳ね上がる「ドル箱番組」とはいえ、これ以上の高騰はTV局の経営をも圧迫しそうです。W杯出場国の中では経済大国でも、広告収入が伸びているわけでもありません。
そうなると、高額の放映権料に見合うだけの視聴料を徴収する有料チャンネルしか放送は不可能となってしまいます。実際、ヨーロッパなどでは1試合に日本円で8千円近くを払わないといけない有料チャンネルがあると聞きます。
やがて、日本のテレビ局がW杯の中継を断念する時がくるかもしれません。
以上、『【サッカーW杯ロシア大会】放映権料高騰でスカパー、DAZNは中継を断念。やがては地上波も!?』でした。