今年前半は「日大の悪質タックル問題」、後半は「東京医大の不正入試問題」がそれぞれ社会問題に発展し、大きな議論となりました。
日大と東京医大はいずれも受験生には人気のある名門校。
2019年の入試に問題の影響はあるのか否か、受験生ならずとも気になるところです。
そこで、両大学の入試への影響について、『週刊ダイヤモンド』が行った「塾・予備校向けアンケート調査」をもとに予想します!
悪質タックル問題の日大
アメリカンフットボールの選手が試合中に相手チームの選手に対し、悪質なタックルで負傷させた問題が発覚した当初、日本大学の本部に抗議の電話が鳴り止まなかったといいます。
問題は日大の経営体制の批判、ひいてはスポーツのあり方まで議論が及んだことは記憶に新しいところです。
現在では事態は沈静化しているようですが、イメージダウンは避けられず、これが2019年入試にどのような影響を与えるのでしょうか。
『週刊ダイヤモンド』の「塾・予備校向けアンケート調査」の「志願者数」「合格者の入学者数」の数字から予想していきます。
「志願者数」は減少
- 全体的に減る 36%
- 一部の学部で減る 21%
- 全体的に変わらない 36%
- わからない 6%
「全体的に減る」36%、「一部の学部で減る」21%と、志願者数は減少するという見方が過半を占めています。
日大ブランドのイメージが大きくダウンしたため、保護者や高校関係者が受験生に日大を勧めないこと、「日東駒専」と同じ難易度に代わりの大学が多いため、大幅減の可能性も指摘されます。
「合格者の入学者数」も減少
- 全体的に減る 34%
- 一部の学部で減る 20%
- 全体的に変わらない 37%
- わからない 9%
合格者の入学数でも「全体的に減る」34%、「一部の学部で減る」20%と、こちらも減少するという見方が過半を占めます。
これもイメージダウンした結果、日大と他大学にダブル合格した場合、日大の優先順位は下がることが確実視されています。
それでは、日大に合格した受験生はどこへ流れていくのでしょうか。複数の大学に合格した際の進学先で、日大は「日東駒専(日大・東洋大・駒澤大・専修大)」の最上位にランクされていましたが、少なくとも2019年は、東洋に最上位の座を譲り、駒沢・専修と同格か下がることも大いに予想されます。
ただ、「日東駒専」は横並びで語られることが多いため、体質的に似た校風だと思われて、成蹊や成城、明治学院などスマートなイメージの大学にシフトすることも考えられます。
一方、医学部と生物資源科学部獣医学科は学部の性質上、特段の影響はないと見られています。
不正入試問題の東京医大
文部科学省官僚の汚職の舞台となり、さらには、入試の際に女子と多浪生を不利に扱っていたことが発覚した東京医大。
問題は他の医大にも波及し、女性医師の教育のあり方にまで議論が発展し、今もなお大きな問題として議論されています。
「志願者数」は変わらず
- 減る 36%
- 変わらない 36%
- 増える 6%
- わからない 9%
志願者数は「減る」と「変わらない」が共に36%。ブランドイメージが大きくダウンして、男女を問わず高学力層の志望が顕著に減っているといいます。
その一方で、イメージダウンを嫌う受験生が一定数はいるものの、倍率が下がることを見越して受験する生徒が増えるとも予想できます。
これは、医師になるには医学部に入学する以外に選択肢がない以上、医学部のある大学の数が限られている現実が如実に反映しているといえるでしょう。
「増える」の予想の根拠としては、不正が発覚したことで、今年はさすがに公平な入試になるだろうとの期待が女子を中心に高まることがあげられます。
「合格者の入学者数」も変わらず
- 減る 18%
- 変わらない 71%
- 増える 0%
- わからない 12%
合格者の入学数では「変わらない」が71%を占めています。大学のイメージダウンは気になるものの、大学は医師になるという目標を達成するための手段に過ぎないという割り切った考えが根底にあるということです。
ただ、複数の大学に合格した場合には、躊躇なく他大学を選ぶ受験生も一定数いることも確かでしょう。
流れる先としては、東京医大は私立旧制医専校として昭和大学、東邦大学、日本大学などと並んでいましたが、優先順位が下がることは確実です。
日大も「悪質タックル問題」でイメージダウンしているので、昭和・東邦への流れが加速することが考えられます。
特に、女性医師問題の関連を考慮すると、旧制女子医専だった東邦に女子受験生が視線が向かうとの見方が強くなっています。
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以上、『「悪質タックル問題の日大」と「不正入試問題の東京医大」の入試影響を予想する』 でした。