「折れた骨は前よりも強くなる?」「いえ、元の状態に戻るだけです」

スポンサーリンク

f:id:naga-aya-omiya:20181029164929j:plain

 

腕を骨折した会社の同僚が、とても明るい表情で「折れた骨は前よりも強くなる」と言い切っています。

 

確かに、子どもの頃からそのような話はよく聞いてはいましたが。

 

そこで、かかりつけの整形外科医に聞くと、これまた明るい表情で「いえ、元に戻るだけです」ということでした。

 

一種の都市伝説のようなものだったのですね。

 

 

折れた骨は前より強くなる?

腕を骨折して会社を休んでいた同僚が、ギブスをはめた状態で出社してきました。その痛々しい姿に、鬼軍曹の異名をとる上司も「おい、まだ無理するなよ」と優しいお言葉。

 

対する同僚は「大丈夫でーす」とやたら明るい返事。落ち込んだところがまったくないので、その理由を尋ねると、「折れた骨は前より強くなる」からだと。草野球チームで投手をしている彼は、「治ればもっと速い球が投げられる」とも。それを聞いた一同は「・・・」。

 

確かに、小学生くらいの頃、骨折したクラスメイトに担任の先生が「骨は折れても回復すると、以前よりも強く頑丈になるんだ」と言っていたような記憶があります。これって、骨折した子どもへの激励の言葉に過ぎないはずでしたが。

 

そこで、かかりつけの整形外科医に聞いてみたところ、「いえ、元の状態に戻るだけです。前より強くなったり、頑丈になったりすることはありません」という明快な回答が帰ってきました。

 

f:id:naga-aya-omiya:20181029165022j:plain

 

折れた骨の強度は以前と同じ

それでは、以下、その整形外科医の説明です。

 

骨の中には生きた細胞があり、骨折しても以前の状態に戻す能力を備えています。それは広く知られていることですが、その強度は骨折以前のものと同じで、骨がより強くなったり、太く頑丈になることはありません。

 

折れた骨がくっついていくプロセスで、「仮骨(かこつ)」という骨の欠損部分をつなぐために新たに生成された不完全な骨組織ができますが、これがレントゲンなどで見ると太く映し出されます。これが、「折れた骨は前より強くなる」説の出所かもしれません。

 

医師はレントゲンを用いて何度が骨の治り具合をチェックしますが、その時に「仮骨」が出来て太くなっているレントゲン写真を見た患者が、「おお、前よりも太くなっている」と喜び、やがて「おおー、強く、頑丈になっている」と早合点したことが想像されます。

 

もちろん、医師が「強い骨が出来ました」などと言うはずはありませんが、「はい、治りました」という医師の言葉とともに「仮骨」で太くなったレントゲン写真を思い出して患者がそう思い込んでしまうことは、いかにもありそうなことです。

 

 

運動してこそ骨は強くなる

骨折してギブスをはめた生活は不便そのもの。暗くなりがちな生活の中で、同僚のように「骨が強くなる」と思い込んで、少しでも気休めになれば、それはそれでいいと思います。

 

ただ、正しい知識は頭に入れておかないといけません。強い骨を作るには、運動をして骨に負荷をかけていくほかはありません。

 

例えば、片足立ちを1分間ずつ、2~3セットやるだけでも骨は鍛えられるようです。

 

以上、『「折れた骨は前よりも強くなる?」「いえ、元の状態に戻るだけです」』でした。