「やっぱり」阪神・金本監督が辞任しました。
「やっぱり」新監督には矢野2軍監督が就任しました。
この監督交代劇は巨人のそれと瓜二つ。
矢野氏自身には何の問題もありませんし、大いに期待したいのですが、何だかスッキリしません。
巨人・阪神 瓜二つの監督交代劇
10月6日に『阪神ファンは『巨人・高橋監督辞意➝原新監督』を面白がるけど、笑うに笑えない!』という記事を本サイトに掲載しました。
巨人球団首脳が高橋監督続投を示唆➝高橋監督が成績不振を理由に辞任➝過去の実績が買われて原監督就任。
こうした監督交代劇が阪神でも見られるかもしれないので、阪神ファンは笑うに笑えないと書きました。
いやはや、本当に巨人のそれと瓜二つ。笑うに笑えません。せめてもの救いは、岡田彰布氏にならなかったことと、鳥谷敬を現役引退させて監督に就かせなかったことです。
高橋由伸も金本知憲も、監督就任時に球団側には負い目があります。現役続行を希望したのに無理矢理引退させて高橋を監督に就けた巨人。監督就任を渋る金本を「3年連続最下位でもいいから」と口説き落とした阪神。
監督を解任したいが就任時の負い目があるため、様々な方面から無言の圧力をかけて、本人自らが辞任を申し出るように仕向けています。阪神にいたっては、球団社長が金本監督と面会の上、「辞任勧告」を行っているといいますから手が込んでいます。
特に阪神の場合、17年ぶりの最下位に落ち、甲子園での観客動員数が約14万人も減少しているのですから、経営判断として「監督解任」はあり得ます。スパッと任期途中でも「解任」すれば、スッキリとファンも次を向くことができたのです。
なぜ、掛布雅之ではダメなのか?
金本監督辞任以降、次期監督の名前がいろいろ挙がっていました。ネット上で特に待望論が強かったのは、ミスタータイガースこと掛布雅之。
3年前、金本知憲監督就任と同時に2軍監督に就任しました。ファンからの支持は絶大で、2軍戦にもかかわらず、「掛布見たさ」で鳴尾浜球場は満席の日が続きました。
解説者時代に披露していた優れた野球理論には定評がありますし、何より、若手選手の底上げが少しでも出来ているとするならば、それは掛布2軍監督の手腕といっても過言ではありません。
掛布本人は他球団から監督就任のオファーがあっても「自分は阪神一筋」と断り続け、2軍監督を引き受けた時点で「次はオレ」という覚悟を決めていたという話もあります。
ファンとしては、「掛布監督・矢野ヘッドコーチ」ならどれだけ喜んだかわかりません。若手の活躍をくしゃくしゃの笑顔で見守る掛布監督と矢野ヘッドを、ファンは心底見たかったのです。
それなのに、なぜか、議論のテーブルにもあがっていません。
現役時代に飲酒運転で事故を起こし、当時の球団社長が「絶対に許さない」と逆鱗に触れたことが尾を引いているとか、球団内の派閥抗争で「掛布監督」ではバランスが取れないとか、いろいろ言われてはいます。
詳細はまったくわかりませんが、ファンの声がまったく届かない球団の古い体質にスッキリしないものを感じてしまいます。
矢野新監督に期待はするけど
理詰めのリード、勝負強いバッティング、何よりもガッツあふれるプレー、甘いマスク。矢野燿大はファンから愛された選手でしたし、上下問わず選手からの信頼も厚いものがありました。
現役を退いても、卓越した野球理論に基づく解説ぶりは、深い洞察力を感じさせるものでもありました。
ですから、矢野監督と聞いてファンからブーイングが起きることは皆無でしょう。しかし、「今、監督をやるべきなのか」と考えるとスッキリしないのです。
球団が矢野に白羽の矢を立てた理由は、今季に2軍監督としてウェスタン・リーグ優勝、ファーム日本一に導いた実績が高く評価されたからでしょう。
もちろん、その実績は評価されてしかるべしですが、よくよく考えると、今季の阪神の2軍には、本来なら1軍で活躍していなければいけなかった選手が大勢いたということです。
4番を期待されたロサリオをはじめ、藤浪、西岡、今成、岩田・・・。1軍での実績もある彼らの存在を差し引いたら、どのような結果だったか。
また、「超積極的」をスローガンに、リーグ新記録のチーム盗塁数163を記録しましたが、1軍で同じ事をやれるのかどうか。
つまり、たった1年の2軍監督としての実績だけで、課題山積の1軍監督に就けてしまっていいものだろうかとスッキリしないものを感じるのです。
掛布監督の下でヘッドコーチとして経験を積み、満を持して監督に就き、鳥谷敬へとバトンを渡す。こういう長期戦略をどうして描けないのでしょうか。
以上、『阪神・矢野新監督に期待はするけど、何だかスッキリしないのはなぜか?』でした。