「礼拝所不敬罪」なんてあるの? 過去に篠山紀信氏も起訴されています。

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何気なくネットニュースを見ていたら、「僧侶にけがをさせたとして、無職の男を器物破損と傷害、礼拝所不敬の疑いで逮捕した」とありました。

 

器物破損と傷害はいいとして、礼拝所不敬って何?と思いました。なんか、戦前の法律みたいで、初めて耳にしました。

 

そこで、「礼拝所不敬罪」についていろいろと調べてみたところ、結構、この罪で逮捕・起訴されていることがわかりました。実は、過去に写真家の篠山紀信氏も起訴されていました。

 

 

 

「礼拝所不敬罪」について

ネットニュースによりますと、男が寺を訪れ、読経などの際に使う直径60センチのけい子を木製の棒でたたいてへこませた後、男性僧侶の胸ぐらをつかんで投げ飛ばし、1週間のけがをさせました。警察は、この男を器物破損と傷害、「礼拝所不敬」の疑いで逮捕したとのことです。

 

この「礼拝所不敬罪」とは耳慣れない罪名です。私は初めて耳にしました。

 

「礼拝所不敬罪」とは、一般の宗教感情を保護するために定められたもので、刑法188条第1項に以下のように規定されています。

 

神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁固又は10万円以下の罰金に処する。 

 

要は、仏教、神道、キリスト教、イスラム教など宗教を問わず、一般の人たちが宗教的な思いを捧げる場所において、公然と礼儀に外れた行為をした者に適用されるようです。

 

 

篠山紀信氏も「 礼拝所不敬罪」で起訴されていた

あの有名な写真家・篠山紀信氏も、2010年、「礼拝所不敬罪」で起訴されています。

 

当時の新聞は以下のように報じています。

 

篠山氏は、・・・ヌード写真集「20XX TOKYO」のために都内の計12ヶ所で、不特定多数が見ることが出来る状態で、モデル2人を裸にして撮影した。

青山霊園内では墓石の上でモデルにあぐらをかかせ、股間を広げた状態で撮影し、持ち主から霊園に抗議があった。

東京区検は、礼拝所不敬と公然わいせつ罪で篠山氏を略式起訴した。  

 

今までこの件は知りませんでしたが、これは刑法で定められた「礼拝所不敬罪」そのものずばりあてはまります。芸術的な意図、日本を代表する写真家という点など忖度されなかったようです。

 

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有名登山家も「礼拝所不敬罪」で書類送検

2012年には、世界的に有名な登山家も起訴されています。

 

当時の新聞は以下のように報じています。

 

和歌山県警新宮署は2012年8月9日、世界遺産に登録されている「那智の滝」(和歌山県那智勝浦町)でロッククライミングをした世界的アルパインクライマーの佐藤裕介さんら3人を軽犯罪法違反と礼拝所不敬の容疑で和歌山地検新宮支部に書類送検した。

   3人は12年7月15日、立ち入りが禁止されている那智の滝の岸壁を登り現行犯逮捕されたが、逃走のおそれがないことなどから釈放されていた。

 

これは、「那智の滝」そのものが「ご神体」として信仰の対象となっているため、条文にある「その他礼拝所」にあたると判断されたようです。

 

おわりに

「礼拝所不敬罪」が適用されたケースとしては他に、酔っ払って墓石を次々となぎ倒した件や不仲の家の墓石に小便をかけた件などがあります。

 

小さいい頃からよく「そんなことをすると神様のばちが当たる」と聞かされたものです。篠山紀信氏や登山家のケースも、神仏のばちが当たる前に、人間が法律で裁いたということでしょうか。

 

以上、『「礼拝所不敬罪」なんてあるの? 過去に篠山紀信氏も起訴されています。』でした。