プロ野球も日本シリーズが終わってしまい、オフシーズンとなってしまいました。
野球ファンにとっては来春まで待たねばならない寂しい秋でもあります。
野球が恋しくなっているあなたにうってつけの番組があります。
NHKBSの『球辞苑』。
マニアックなキーワードをもとに野球を科学的に分析する、プロ野球深掘り情報バラエティーです。
プロの現役選手も参考にしている『球辞苑』の面白さを紹介します。
『球辞苑』とは?
野球にまつわる究極の辞典『球辞苑(きゅうじえん)』を編さんすることを目的に、マニアックなキーワードを毎回1つピックアップし、現役・往年の名選手が明かす秘話やコンピュータを駆使したデータ分析をもとに、スタジオトークでとことん掘り下げていきます。
ピックアップされるキーワードがとてもマニアック。「流し打ち」「アンダースロー」「一塁手」「インハイ」「6番打者」など。
マニアックだけれども、マニアック過ぎないものばかりで、ファン心理をくすぐります。他の野球を特集した番組では、「6番打者」だけで1時間番組は作れないでしょう。
また、お笑い芸人のチュートリアル・徳井義実(広島ファン)やナイツ・塙宣之(巨人ファン)、プロ野球解説者・里崎智也(元ロッテ)の軽妙かつ熱いトークも見所の1つです。
プロも参考にする『球辞苑』
現役のプロ野球選手に『球辞苑』のファンが多いのも特徴です。なかでも西武・秋山翔吾選手はゲストとして何度も番組に出演し、「球辞苑ファミリー」と呼ばれる存在です。
さらに、キーワード「流し打ち」の回の放送を見てヒントを得て、シーズン最多安打記録を出しているのです。番組にもゲスト出演する野球ジャーナリストのキビタキビオ氏のツィッターにも書かれています。
ジャンクスポーツ、秋山選手の『球辞苑』発言を確認。「意外なところで技術を学んだことはある?」という質問に、「NHKの番組で…」(秋山)「テレビで!?」(浜田)から『流し打ち』というテーマで篠塚和典さんの奥義を見て翌年日本記録(最多安打)が出た…と。さすがファミリーw うれしいですね。
また、「ホームスチール」をキーワードとした回を放送して3日後、広島の新井貴浩選手が実際の試合でホームスチールを見事に成功させました。
これは『球辞苑』の影響か、と大いに話題となりましたが、新井選手本人に聞くと番組は見ていないとつれない返事。しかし、「いい番組と評判なので、見たことにしてもいいですよ」と善人ぶりを発揮していました。
初球がボールだと打者はイチローに変身
私が『球辞苑』を見て野球の見方が変わったのは、キーワードが「初球」の回(2017年11月放送)です。
番組公式サイトの「初球」回の紹介です。
「初球」。バッテリーと打者の勝負は必ずこの1球から始まる。どう投げるか、打ちにいくか、そこには深い読み合いが!「初球」の攻防に光を当てる。
「チャンスでバッターは打ち気になっているので、初球はボールにして・・・」「まずはボールになる変化球から入って様子を見て・・・」
解説者がよく言うセリフです。しかし、初球をわざとボールにしていいのか?本当に投手にとってプラスになるのか?にスポットがあたります。
ここで、2008年から2017年の10年間の「初球結果別出塁率」が出されます。これを見ると、初球がストライクだと出塁率は.270前後、ボールになると1割も跳ね上がって.370前後になってしまいます。
このデータでスタジオトークが熱を帯びてきます。
里崎智也「これはいいデータですねえ」
徳井義実「2010年と2014年、初球ボールやと出塁率3割8分って、これイチローや」
里崎「初球ボールで、並みの打者もイチローさんになるんですね」
初球の見方が変わってきませんか?確かに、初球からポンポンとストライクを取れている投手は好投している証拠ですよね。
にもかかわらず、初球はボールから入ることが多いのは、「ストライクから入って打たれると怒られるから」(里崎智也)だそうです。
ちなみに、番組では「初球に最もストライクをとる投手」も紹介しています。
①渡辺俊介(ロッテ) 57.9%
②成瀬善久(ヤクルト) 57.3%
③吉見一起(中日) 56.7%
④内海哲也(巨人) 56.13%
⑤前田健太(広島) 56.11%
アンダスローの渡辺俊介投手の1位は意外でした。その理由を渡辺投手は番組内で「あまり見慣れない投げ方なので、初球はみんな様子を見ていた」と述べ、「初球は最も質の良い球を全力で甘いコースへ投げ、打者に振らせてストライクを取る」と言っています。
「なるほど」と納得がいきます。『球辞苑』にはこうした「目からウロコ」の話が盛り沢山です。
今年は11月10日からスタートします。是非、1度、ご覧になってください。
以上、『マニアックなキーワードで野球を分析!プロも参考にする『球辞苑』が面白い』でした。