日曜日の午後8時、毎週欠かさず家族で見ているのが『世界の果てまでイッテQ!』です。
その『イッテQ』の人気企画「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」でヤラセがあったと週刊紙が報じました。
『イッテQ』はドキュメンタリー番組ではなく、バラエティー番組。現実とヤラセを適度に組み合わせながら、健康的なお笑いをお茶の間に届けています。
それなのに、ヤラセがあったからと番組打ち切りの話まで出ています。日本テレビは「バラエティー番組にヤラセがあって何が悪い」と開き直れば良いのです。
『イッテQ』にヤラセ疑惑報道 日テレも一部謝罪
日本テレビ系列『世界の果てまでイッテQ!』の人気企画「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」で、実在しない祭りがラオスの「橋祭り」として放送されたとして、『週刊文春』が報じました。
同紙によると、ラオスには「橋祭り」という祭りはないという現地の証言とともに、テレビ局側が持ち込んだ企画として現地にセットが組まれ、参加した地元の人には参加費が渡されたとしています。
これを受けて日本テレビは、番組サイドで祭りをねつ造したとの報道を否定しました。ただ、「橋祭り」は同所では初開催であったにもかかわず、毎年行われているかのような誤解を招く表現があったことは認め、謝罪しています。
『イッテQ』の面白さ
『イッテQ』の面白さを一言で言うと、どうでもいいくだらないこと(時にはエベレスト登頂という快挙)にタレントたちが必死に体を張って挑むところです。
皆がお笑いタレントですので多少のウケ狙いはあるにせよ、与えられた課題を真剣にクリアしようとしているからこそ、失敗した時には健康的な笑いがあり、成功すれば素直に感動できるのです。
そして、目標達成のプロセスを描いたドキュメンタリーではないことは十分に承知の上。見ていて時々「?」がつくことはしょっちゅうですが、それがいいアクセントとなっているのです。
そうした真剣さから伝わる「現実」とテレビ番組として必要な「?」の部分が、嫌みなく混合した内容となっているからこそ、日曜夜のNHK大河ドラマに優るとも劣らない視聴率を叩きだしているのだと思います。
バラエティー番組とドキュメンタリー番組
ドキュメンタリー番組は文字通り資料映像的な要素がありますから、事実がすべてであり、ヤラセは一切あってはなりません。
一方、バラエティー番組はお茶の間に健全な笑いを届けるエンターテイメントであり、そこに多少のヤラセがあってもOKだと思います。
問題となった『イッテQ』のお祭り企画は私も見た記憶があります。お祭り男の宮川大輔が橋に見立てた板の上を自転車で速度を上げて渡ろうとしますが、途中にバランスを崩して川に転落します。
転落した宮川は「この川、死んでるやん」と絶叫しますが、表情は真剣そのもの。これが文春の言うように祭りそのもが実在しなかったとしても、面白さに変わりはありません。
祭りに宮川が参加することを通して、その国の伝統文化を紹介する場面もありますが、決してそれをメインとした番組ではないのです。
もちろん、ヤラセにも許容範囲というものがあります。ヤラセによって、特定の国や人間を傷つけるようなことがあってはなりません。(今回の件で、ラオス政府から抗議がなされたとの情報には接していません。また、ラオスに抱いていたイメージが損なわれたと視聴者からクレームがあったとも聞いていません。)
『電波少年』の日本テレビの対応
20年ほど前、同じ日本テレビで『進め!電波少年』というバラエティー番組がありました。
番組の企画で、お笑いコンビの猿岩石(有吉弘行・森脇和成)がヒッチハイクで香港からロンドンまで行くという人気企画があり、彼らは無事にゴールインして話題を集めました。
しかし、全行程をヒッチハイクしたのではないことが発覚します。タイ・ミャンマー・イランの一部は危険地帯であるとして飛行機で移動していたことが明らかになりました。
番組ではこの事実を隠していたため、すべてがヤラセではないかとの疑惑まで持ち上がりました。
これを受けて日本テレビ側は、「『電波少年』はドキュメンタリー番組ではないので、面白くないところは映さないし言わない。面白い場面だけを見てもらう」旨の発言をしていて、「なるほど、もっともだ」と思いました。
テレビ局側も世論におもねるだけでなく、「バラエティー番組にヤラセがあって何が悪い」と開き直ってみてはどうでしょうか。
少なくとも、今回の件で番組打ち切りなどという愚かな判断をしないことを望みたいものです。
おっと、日本テレビは今回の件ではヤラセはなかったと言っていることを忘れていました。
以上、『バラエティー番組である『イッテQ』にヤラセがあって何が悪い!』でした。