習わなかったけど、知らなかったでは済まない公職選挙法

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選挙や政治にまったく関心なかったけど、突然、仲のいい友人が選挙にでることになって、それで選挙活動を手伝わされて・・・。

 

最初はやる気はなかったけど、いやいや選挙活動を手伝っていたら、それが面白くて面白くて・・・。

 

こういう人、結構多いです。

 

でも、気をつけましょう。選挙には公職選挙法でやっていい事といけない事が決まっています。公職選挙法は、学校では習いません。しかし、知らなかったでは済まないのが法律です。

 

そこで、有権者が公職選挙法違反で摘発された事例をいくつか紹介してみます。

 

 

公職選挙法とは? 習わなかったけど・・・

公職選挙法とは、衆参国会議員選挙から村議会議員選挙まで、選挙と名の付くものにはすべてに適用されるルールです。選挙活動で、「やってもいい事」と「やってはいけない事」が明確に、(場合によっては曖昧に)定められています。

 

選挙が始まると、酔っ払いが選挙ポスターを破って逮捕された、というニュースを耳にしますが、あれが公職選挙法違反ということです。

 

「主権者として政治や選挙に関心を持とう!」とよく言われますが、実は、肝心要の公職選挙法は、私たちは正式には習わないのです。小・中学校、高校はおろか大学の法学部や大学院でも習わないのです。ホント、不思議な法律です。

 

しかし、れっきとした罰則規定つきの法律ですから、違反すれば逮捕され、裁判にかけられます。通常の犯罪と同じです。だからこそ、気をつけなければいけません。

 

知らなかったでは済まない公職選挙法

同級生や仲のいい友人が突然、選挙に出ることになって、無理矢理に選挙活動を手伝わされているうちに、熱心な支援者になって・・・。

 

日頃から尊敬できる人だと思っていた人が選挙に立候補したので、是非とも当選してほしいと願い、後援者として活動するようになって・・・。

 

こういう人ってわりと多いです。また、選挙そのものがお祭り騒ぎみたいで面白い、と言う人もいます。

 

選挙に積極的に関わることは、とてもいいことだと思います。私たちの代表を選ぶのですから当然です。選挙プロみたいな人ばかりがやってるから、日本の政治は良くならないのだと思っていますので。

 

ただ、注意しなければなりません。選挙が熱をおびてくると、熱心さのあまり良かれと思っての行為が、まるまる選挙違反にあたっていることがあります。違反行為で摘発されて、知らなかったでは済まないのです。

 

違反行為のなかには、先ほどのポスターを破ったりする行為のほかに、一般社会では常識とされるものもダメな場合もあります。

 

そこで、いくつかの具体的事例をご紹介します。

 

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公職選挙法違反・・・買収

文字通り、投票してくれることの見返りに金品を渡すことです。

 

「そんなこと絶対にやらないよ」と言われるかもしれませんが、実際、これで摘発されるケースが絶えません。

 

【飲食をもてなしたケース】

A氏は、ある候補者の演説会に友人数人を誘って参加し、終了後に参加してくれた友人にお礼の意味で居酒屋で飲食 し、費用を全額支払った。

 

何かのお願い事を聞いてくれた人に、感謝の意味でご馳走することは一般によくあります。ある意味、常識の範囲です。

 

でも、A氏の場合、特定の候補者の演説会への参加の見返りに飲食でもてなしたということで、間接的な買収行為と認められることになります。飲んでいるときに、「1票入Cれてくれよ」と言わなくてもです。

 

ちなみに、同様のケースで飲食費を割り勘にし、端数を多めに支払った人も、買収行為で摘発された事例があります。

 

【物品を渡したケース】

Bさんは、ある候補者の演説会に友人数人を誘って参加し、2日後にそのお礼といって自分の畑でとれた野菜を配って回った。 

 

これも一般的には普通の行為でしょう。でも、これも先のケース同様に、演説会参加のお礼として野菜を配ったことが、間接的な買収行為にあたると認定されるわけです。大根、キャベツで逮捕されたらたまったものではないでしょうね。

 

【物品を渡したケース】

 Cさんは、ある候補者の選挙事務所で事務作業を手伝っていたが、近所の人が事務所を訪れしばらく話をし、友人が事務所を出る際に「今日は暑いから」と言って、冷えたジュースを渡した。

 

公職選挙法では、選挙事務所の中なら、お茶やお菓子程度を来訪者に出しても良いことになっています。

 

でも、このケースは、事務所からジュースを持って出て行ってるわけですから、事務所内で投票を依頼され、その見返りにジュースをもらったということになってしまいます。ジュース1本で買収行為が成立です。

 

【プロ歌手を有料で呼んだケース】

D氏は、ある候補者の集会に、かねてより親交のあったプロの演歌歌手を呼び、集会参加者を前に一曲披露させた。

 

選挙の集会に有名人をゲストで呼ぶときがあります。プロの演歌歌手は有料で歌を披露するのが仕事です。本来なら有料でしか聞くことのできないプロ歌手の歌を、候補者の集会で無料で聴くことができたということは、その歌手のギャラ分の費用で集会参加者を買収したということになります。

 

ただ、その歌手がスピーチだけをして帰っていったということなら、歌手はスピーチで報酬が発生するわけではありませんので、問題なしということになります。

 

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公職選挙法違反・・・文書違反ほか

公職選挙法では、選挙の際に有権者に配付できるビラ、チラシはそのサイズや枚数など細かく規定されています。その規定以外の文書を配布すると違反行為となります。

 

【パソコン作成文書を郵送】

Eさんは、ある候補者を支援してほしいという内容の文書をパソコンで作成してコンビニでコピーし、中学・高校時代の同級生100人ほどに 郵送した。

 

Eさんが個人としてやっているのだから良いように思えます。しかし、パソコンで作成した文書をコピーして100通ですから、これは組織的な運動と見なされ、文書違反が成立します。

 

これが、パソコンで作成ではなく、手書きされたものなら、まったくのプライベートのやりとりになります。ただ、100通だとどういう解釈がされるのか、定かではありません。 

 

【メールで投票依頼】

F氏は、ある候補者への投票をお願いする内容のメールを200件、発信した。 

 

 メールは文書と同等の扱いとなっています。したがって、法律で定められていない文書を発信したことになり、文書違反が成立します。

 

問題なのは、投票をお願いする内容になっていることです。投票依頼ではなくて、例えば、「私は、○○候補が訴えている教育政策に賛同しています」「私は、××候補とは高校の同級生なので応援しています」ならば、まったく問題ありません。

 

【18歳未満の選挙活動】

Gさんは、ある候補者の演説会に、小学生の娘を連れて行き、壇上でマイクを持たせて「頑張ってください」と激励させた。 

 

微笑ましい光景ですが、18歳未満の中学生なのでアウトです。

 

18歳未満であっても演説会には聴衆の1人として参加できますが、壇上でマイクを持って言葉を発するのは、立派な選挙活動とみなされます。

 

この場合、子どもまで警察で事情聴取されますからかわいそうです。

 

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まとめ

世間一般では常識とされる行為が、まるまる公職選挙法違反となるケースがあることを、おわかりいただけたでしょうか。

 

だからといって、選挙は怖いなんて思わないでくださいね。これはと思う候補者がいれば、どんどん応援してあげてください。

 

もし、「こういう活動は大丈夫?」と疑問に感じたら、どんな些細なことでも選挙事務所に相談してください。どの事務所にも、選挙法に詳しい方がいるものです。もし、いなければ、それはその候補者がかなりいい加減だと思っていいかと。

 

以上、『習わなかったけど、知らなかったでは済まない公職選挙法』でした。