今回の『ワールドプロレスリング』観戦記は、NEW JAPN CUP(春の最強決定トーナメント)1回戦&2回戦、棚橋弘至vsタイチ、棚橋弘至vsバッド・ラック・ファレの2試合です。
NJC優勝者には、IWGPヘビー級、IWGPインターコンチネンタル、NEVER無差別級王座のいずれかへの挑戦権が与えられます。復帰開けのエース棚橋弘至の優勝に期待がかかります。
《棚橋弘至vsタイチ》
棚橋は1月の鈴木みのるとの一戦でヒザを負傷し、約40日ぶりの復帰戦。一方のタイチはヘビー級転向後、NJC初出場でその第一戦です。
放送ではいきなりタイチのディーバに棚橋が気を取られているところへ、背後からタイチが持ちアイテムのスタンドマイクで一撃するところから始まります。タイチ、「世界一小ズルイ男」の真骨頂でしょうか。
先日の内藤哲也戦同様、場外の花道でのパワーボムを狙ったタイチでしたが、逆に棚橋にフランケンシュタイナーで切り返され、ロープ越しのドラゴンスクリュー3連発。
タイチも必死で食い下がります。タイチも独特のデンジャラス・バックドロップの連発から、全日の川田利明が三沢光晴を破った決め技三冠パワーボムで追い込みます。
全日出身のタイチは川田の愛弟子。師匠譲りの一発は会場を大いに沸かせます。しかし、「川田が三沢にしかけた三冠パワーボムだっ」と他団体の選手の名前をテレビ朝日の実況アナウンサーが絶叫するなんて、時代も変わったものです。新日一強となって、もはや他団体は眼中にないということでしょうか。
タイチの猛攻は続きますが、棚橋は要所要所で技を見切り、スイング・ブレイドの連発からハイフライフローでフィニッシュです。
タイチの力強い攻撃に光るものがありましたが、終始、棚橋のインサイドワーク、試合運びの上手さが目立った一戦でした。
ヒザを負傷してたにもかかわらず、負担のかかるハイフライフローでフィニッシュするあたり、同じくヒザに爆弾を抱えていた武藤敬司がムーサルトプレスにこだわったのを思い起こします。
《NJC試合情報》
放送では、タイチ戦の後、NJCでのザック・セイバーJrの躍進が流されます。なんと、優勝候補の内藤哲也、飯伏幸太を見たこともないような関節技でギブアップ勝ちをもぎ取っていきます。
あの強気で鳴らす内藤でさえ、「今日は、ザック・セイバーに完封されました」と言うほどです。
《棚橋弘至vsバッド・ラック・ファレ》
NJC2回戦の棚橋の相手はバッド・ラック・ファレ。
巨体に似合わない俊敏な動きをする実力者です。過去のNJCでも2回、準優勝するなど実績も十分です。
とても期待しましたが、放送された時間はわずか。棚橋がファレの巨体をジャーマンで投げきり、スイングブレイド。場外のファレにハイフライアタックを果敢にしかけ、場外で両者がもみあう中、一瞬のスキをついて棚橋がリングイン。棚橋のリングアウト勝ちが告げられます。
昔、ジャイアント馬場がTV解説で「トペやプランチャーは場外リングアウトを狙う技」と言っていたのを思い出しました。棚橋のアタックがファレに大きなダメージを与えたことが勝因でしょうか。
棚橋のゲームプラン通りの展開になっっていたことが、試合後のインタビューでもわかります。
すっごい、研究した! 自分の試合しか興味がない俺が、ファレが上がってきた決勝戦、いっぱい見たよ。でも、それは、今の俺に必要なことだと思ったから。どんな形であれ、このトーナメントは勝ち上がらないと意味がないから。
棚橋は「100年に1人の逸材」と自称していますが、プロレスの上手さでいえば右に出る者はいないと思います。天才と言われた武藤敬司とは、ひと味変わった明るいオーラを放つところは現代風です。
今の新日一強時代の土台を築いたのは、間違いなく棚橋。もう一花咲かせて欲しいのですが・・・。
以上、『『ワールドプロレスリング』観戦記 2018年4月2日放送 NJC 棚橋弘至vsタイチ 棚橋弘至vsバッド・ラック・ファレ』 でした。