民進党と希望の党が合体して結成された国民民主党。
マスコミをはじめ国民世論の評価はイマイチで、苦しい船出となりました。
それでも、日本の民主主義にとって健全な強い野党の存在は不可欠です。今後、国民民主党が有権者の支持を得ていくためには、中華料理チェーン店「餃子の王将」になれるかがカギだと考えています。
国民民主党が結成
民進党と希望の党が合体し、結成された国民民主党。
しかし、両党の所属議員の4割が入党せず、衆議院では立憲民主党の後塵を拝し、野党第2党にとどまってしまいました。
大変厳しい船出といえましょうが、唯一の光が見えるとすれば、それは立ち位置です。
国民民主党の綱領では、基本理念として「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の中道改革政党」と自らの立ち位置を定めました。
既成政党では、自民党が右、立憲民主党がやや左に位置し、有権者の5割近くが占める真ん中がぽっかりと空いている状況であり、ここに狙いを定めるのは悪くない判断といえます。
今後は、「穏健保守からリベラル」、「中道」、真ん中の層をターゲットにして、どのような党活動を展開していくのかが問われることになります。
私は、政党を中華料理店に例えています。自民党は「醤油ラーメンをメインにした老舗店」、共産党は「激辛料理専門店」、という具合にです。
国民民主党は、あの「餃子の王将」をめざすべきだと思っています。
自民党と共産党を中華料理店に例える
自民党は、「醤油ラーメンをメインにした老舗店」です。
日本人の多くが好む醤油ラーメンがメインです。「腹が空いたからラーメンでも食べるか」というノリで食べるもので、特に何の特徴があるわけではなく、行列ができるほどではありません。
ただ、醤油ラーメン以外のメニューも大変豊富で、中華料理店なのにお寿司まであります。どの料理も一定の水準をキープしているため、どれを注文しても普通に満足して店を出ることができます。
老舗店ですから、地域の信頼を受けてはいるものの、たまに、出入り業者から賄賂を受け取る店長がいたり、ごく一部の客に異様に安い値で料理を提供したり、女性従業員へのセクハラ行為があったりして、客の大反発を受けることもあります。
共産党は、「激辛料理専門店」です。
こちらも老舗店ですが、とにかく辛いです。メニューもそれなりに揃っていますが、どれも辛い。このブレのない姿勢はコアなファンの熱烈な支持を受け続けていますが、大多数の客は店を素通りしていきます。
店長はじめ従業員は「激辛料理こそが体に良い」と信じ込んで懸命に働いています。ただ、「甘い料理もいいのでは?」と言おうものなら、即刻、解雇されてしまいます。
立憲民主党と希望の党を中華料理店に例える
立憲民主党は、「ピリ辛料理が売りの新興店」です。
普通の中華料理では飽き足らない、しかし「激辛はちょっと」という「やや辛党」の層を取り込むことに成功しています。
メニューは豊富とはいえないものの、いずれも「程よいピリ辛」で高齢者にも優しい味となっています。
ただ、今後の事業展開を考えると、「ピリ辛」が飽きられた場合にどうするかが問題です。より辛い方にいくと激辛」の老舗店と競合するし、一般的な味を目指すにも、それを作るコックがいないという悩みを抱えています。
希望の党は、「甘めの醤油ラーメンをメインにした新興店」でした。
日本人の大好きな醤油ラーメンを甘めにアレンジして老舗「自民党」と対決しようとしました。店のオープン時には、料理人は見習いばかりでしたが、他店から大量にコックを引き抜いて脚光を浴びました。
ただ、緑色の服を着た女性創オーナーが、「辛党の客は店には入れない」と発言したため、辛党のみならず一般客のひんしゅくをも買うこととなり、客足は遠のき、閉店に追い込まれました。
民主党の失敗
その昔、民主党という中華料理店がありました。
民主党は、「豚骨ラーメンをメインとする新興店」でした。
国民食であるラーメンで、「醤油」の自民党に対抗して「豚骨」で勝負を挑みました。「豚骨ラーメン」を主力商品にして、他のメニューにも斬新な創作中華料理的なものが並びました。
一時は、老舗「自民」が客の猛反発を受け、民主は客足が飛躍的に伸びて売上高でトップに立ちました。ただ、厨房内のイザコザが激しく、怒鳴り声が客席にも届くようになって人気が急落、あっという間に売上高1位の座を「自民」に引き渡してしまいました。
民主党の主力商品「豚骨ラーメン」は、「政権交代」でした。この「政権交代」の名の下に、若い料理人が多く集まり、「子ども手当」「高校授業料無償化」「農家への戸別所得補償」といった、当時は斬新だった創作中華料理をサイドメニューに並べたわけです。
実際、多くの客が老舗「自民」の醤油ラーメンに飽き、あるいは腐敗していると感じ、「民主」の「政権交代」という豚骨ラーメンが新鮮に映り、飛びつきました。
ただ、政権交代が実現すると、「政権交代」という豚骨ラーメンが提供できなくなり、サイドメニューを出すことになりましたが、一品一品の成熟度が客に出す段階にまで至っていなかったために、客の失望を招くこととなりました。
国民民主党は「餃子の王将」をめざせ
「餃子の王将」はその名の通り、餃子が主力商品です。餃子が食べたくなったら、「王将」の2文字が誰でも頭に浮かぶでしょう。
王将に行って、餃子だけを食べて変える人はいません。必ず、餃子の他に何品かは注文するはずです。そして、餃子はもちろん、他のメニューも豊富にそろえ、どれも一定の水準を持っていることが王将の強みとなっています。
自らの立ち位置を「穏健保守からリベラル」「中道」とした国民民主党は、比較的交通量の多い場所に店舗を構えることになりました。あとは提供するメニューです。
国民民主党は、まだ、王将の餃子にあたるものが見当たりません。サイドメニューも見当たりません。
辛党・甘党といった極論に走るのではなく、一般受けのする主力商品をいかに創りあげていくのか。サイドメニューも客に提供できるくらいに成熟したものをどれくらい作れるのか。
幸いにも料理人は数こそ揃わなかったものの、ベテラン・中堅・若手と層は厚いものがあります。潜在力はあるわけです。
「○○を食べたくなったら国民民主」と思ってもらえるような商品がメニューに並ぶことをめざしていけば、道が開けてくるかもしれません。
関連記事もどうぞ↓↓
おわりに
老舗「自民」に食中毒が出るような大事件が起こった時、代わりに行く店が「ピリ辛」と「激辛」の店だけでは困ってしまいます。
その意味から、一般受けする料理を出す店がもう一つあることは重要だと思います。
以上、『政党を中華料理屋に例えると、国民民主党は「餃子の王将」になれ!』でした。