【プロ野球】せめて月に1試合は鳴り物禁止にしてはどうか?

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このゴールデンウィークに高校野球の地方大会を観戦してきました。

 

カキーンという金属バット特有の打球音、キャッチャーミットにバシンと収まる音といった「球音」を感じることができ、これも野球の醍醐味の1つだと実感しました。

 

一方、プロ野球では試合展開に関係なく、最初から最後まで、トランペットや太鼓、笛が鳴り響き、「球音」など感じることはできません。

 

プロらしい力強い「球音」を感じたい、緊迫した場面では固唾を呑んで見守りたいと思うファン(私もその一人)からは、鳴り物応援はやめてほしいという声があがっています。

 

 

 

高校野球地方大会の応援

ゴールデンウイークに観戦したのは高校野球の春季地方大会です。

 

高校野球名物のブラスバンドによる応援はなく、ベンチ入りできなかった野球部員が大きなメガホンを手に、「パッパラパー」と地声でコンバットマーチのメロディーを叫んでいます。

 

時に大きく音程がはずれて観客の笑いを誘うなど、微笑ましい光景が繰り広げられます。

 

そうした彼らの必死の応援の声も、少し離れれば別に気になることもなく観戦に集中できます。

 

打球音やグラブにボールが収まる音、選手同士の声のかけ合いをはっきりと聞くことができます。

 

さらに、ヒットやファインプレーが出た時には拍手と歓声、凡打に終わった時のため息などが自然に沸き起こります。こういうのも野球の醍醐味だと思いました。

 

わずか2時間ほどしか球場にはいませんでしたが、ひいきチームの勝敗とともに、野球そのものを五感で楽しむことができました。

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プロ野球の応援

一時は神宮球場の阪神-ヤクルト戦をよく観に行っていました。

 

もちろん、最初から最後まで、試合展開に関係なくトランペットや笛、太鼓といった鳴り物の応援が続けられます。

 

終盤で一打同点の場面を迎え、「頼む、打ってくれ」と祈るような気持ちで見入っていると、「おい、そこの人、ちゃんと声を出して応援してくれよ。遊びに来てんじゃないんだから!」と一喝されました。

 

「ええっー、遊びに来てるんだけど・・・」

 

それ以降、応援団の人たちから離れた内野席で観戦するようになりました。

 

わざわざ料金の高い内野席に座っても、鳴り物の応援があることに変わりはありません。「球音」はわずかにしか聞こえませんし、選手の声などはまったく聞こえません。

 

また、誰が考えても送りバントの場面で、打者もバントの構えをしているのにもかかわらず、選手の応援歌を歌い(歌わされ)「かっとばぜー、○○」です。「かっとばして、内野ゴロ・ダブルプレーになったらどうするんだ!」と一人でツッコミを入れたくなってしまいます。

 

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鳴り物応援の始まり

高校野球の甲子園大会では、かなり昔からブラスバンドによる応援が行われていました。

 

一方、プロ野球では、1970年代中頃まで、拍手や声援での応援が一般的なスタイルでした。観客が一斉に選手の名前をコールする、「カケフコール」(阪神・掛布雅之選手)や「コージコール」(広島・山本浩二選手)がとても新鮮に感じられました。

 

それでも、点が入った時には、宴会部長のようなオジサンが立ち上がり、「お手を拝借」と言って皆に三三七拍子を促している頃でした。

 

1970年後半、広島カープの熱狂的ファンが球場にトランペットを持ち込み、当時のスター選手だった山本浩二選手の打席でコンバットマーチを演奏したことが、鳴り物応援の始まりだといわれています。

 

高校野球の応援スタイルをプロに持ち込んだ鳴り物応援は、すぐに各球団へと広がりました。攻撃時の応援マーチも各球団2~3種類だったのが、今や選手ごとに応援歌として定められています。

 

また、メガホンやカンフーバットを使った応援スタイルも、広島カープ応援団が生み出したとされています。広島・宮島の名産品である「しゃもじ」が起源とのこと。確かに、広島商業が甲子園に出場すると応援団はしゃもじを打ち鳴らしていました。

 

こうして、応援団のトランペット演奏に従って選手の応援歌をメガホンを叩きながら歌うという、鳴り物応援スタイルが作られたのでした。

 

 

松井秀喜を奮起させたメジャーの応援

メジャーリーグの試合を何回か観戦したことがあります。メジャーの応援スタイルは、拍手と声援で、鳴り物は一切なしです。鳴り物が禁止されているわけではありません。そもそも、応援団なるものも存在しません。

 

ですから、バックネット裏に近い席だと、打球音でヒットかどうか判断できるくらい、はっきりと聞こえてきます。

 

好投した投手やホームランを打った選手には大声援と割れんばかりの拍手、敬遠には大ブーイング。投手にしろ、打者にしろ、一時の静寂を吹き飛ばすプレーこそがプロ野球の醍醐味だと実感しました。

 

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2003年、ヤンキースに入団した松井秀喜選手が、本拠地開幕戦で満塁ホームランを打ったことは記憶に新しいです。

 

敵のツインズは、松井選手の前の打者を敬遠し、満塁策をとります。「ヒデキ マツイ」と次打者のアナウンスがされた途端、ヤンキースタジアムのファンが一斉に立ち上がって大きな拍手で松井選手を打席に送り出しました

 

高校からプロと鳴り物応援しか知らない松井選手は、「初めて光景、初めて経験で全身に鳥肌が立った。何が何でも打ってやろうと心底思った」と後のインタビューで答えていました。

 

おそらく誰かが最大限のエールを贈ろうと立ち上がって拍手したのが、自然発生的にスタジアム全体に広がったのでしょう。テレビで観ている方もちょっとした感動ものでした。

 

こういう応援、とてもカッコイイと思われませんか?アメリカ人の気質だと言ってしまえばそれまでですが。

 

 

「球音を楽しむ日」

日本の鳴り物応援の是非については議論はあるようです。実際、巨人監督時代の長嶋茂雄氏や楽天監督時代の星野仙一氏(故人)、野球評論家の江本孟紀氏らが、鳴り物応援なしで観戦する「球音を楽しむ日」を提案しています。

 

 「応援することも野球の醍醐味だけど、打球音やミットの音を楽しむ日があってもいい。メジャーみたいにね。集中して試合を観ていると臨場感が味わえる」(星野仙一氏)

 

「野の球と書いて野球でしょ。野球を楽しむというのは、自然を楽しむことでもある。メジャーリーグでは1球ごとのため息、拍手で球場の雰囲気が出来上がっていくが、それが野球の文化」(江本孟紀氏)

 

2017年には、鳴り物応援禁止の「球音を感じる日」をオリックスが主催ゲームで行っています。ファンからは「何か物足りない」との声がある一方で、選手たちは「声が聞こえやすい」「集中できる」とおおむね好意的に受け止めているようです。

 

 

月に1回は鳴り物なしの試合を

鳴り物なしの応援には、賛否両論あるでしょう。鳴り物にあわせて応援歌を大声で歌うことを楽しみにしているファンが多いことはわかっています。「応援歌の大合唱でパワーをもらった」という選手がいることも知っています。

 

球団としても、メガホンなどの応援グッズを販売するという営業的側面があることもわかっています。

 

それでも、せめて月に1試合は、各球団とも鳴り物禁止にしてはどうでしょうか?新しい野球の醍醐味、楽しみを提供できる気がするのですが。

 

以上、『【プロ野球】せめて月に1試合は鳴り物禁止にしてはどうか?』でした。