プリンセス駅伝で膝を血に染めて這った選手を見て、ドクターストップ制度が必要だと感じた。

スポンサーリンク

f:id:naga-aya-omiya:20181022115125j:plain

10月21日に行われた「プリンセス駅伝」のテレビ中継をたまたま見ていたら、選手が膝を血に染めて四つん這いになっている映像にとても驚きました。

 

レース中に足を故障して走れなくなり、這ってタスキをつなごうとする姿に素直に感動するとともに、彼女の今後の選手生活を考えると本当にこれでいいのかと考えさせられました。

 

ここは、選手の身体を第一に考え、ボクシングの試合にあるようなドクターストップ制度が必要ではないかと感じました。

  

 

膝を血に染めて這ってタスキをつなぐ

10月21日に行われた第38回全日本実業団対抗女子駅伝の第4回予選会「プリンセス駅伝 in 宗像・福津」において、初出場の岩谷産業の飯田怜選手が第2中継所200mほど前から走れなくなり、膝を血に染めて四つん這いになって進み、次の選手にタスキを渡すというシーンがありました。

 

「2区岩谷産業にトラブル、飯田怜選手が残り200m以上手前から走れなくなり、ゴールまで這って進んでいます。頑張れ!飯田」とテレビ中継のアナウンサーも声を張り上げていました。

 

次の区間を走る選手も涙をぬぐいながら飯田選手の到着を待ち、最下位となりながらもタスキが渡った瞬間、私も思わず拍手をしてしまいました。

 

主催者側の発表によりますと、飯田怜選手はレース後の診断で右脛骨骨折で全治3~4ヶ月であることがわかりました。

 

f:id:naga-aya-omiya:20181022154157j:plain

 

宮根誠司「棄権させる方法はなかったのか」

よく「這ってでも頑張る」と言いますが、飯田怜選手のその言葉通りの奮闘は賞賛に値するものだと思います。

 

しかし、たまたま走れなくなったのがゴール200m前だったから這って行けたものの、これが2km前だったらどうだったのか。

 

フジテレビ『Mr.サンデー』でMCの宮根誠司氏が「ああいう状況になって今後の選手生活を考えたら、あえて棄権させる方法はなかったのか」と言っていましたが、一理ある話だと思いました。

 

駅伝の場合、主催者と記録員と所属チームの関係者の3者の合意の上で棄権します。一般的には、所属チームの監督・コーチが選手の身体に触れた時点で棄権したと見なされます。

 

このルールが棄権することを難しくしているのではと感じています。

 

棄権することの難しさ

駅伝はレース途中で棄権してしまうと、そこで記録が途切れてしまうために、選手は故障しても何とかタスキをつなごうと中継所をめざして痛々しく進んでいきます。

 

「タスキにはチーム全員の魂がつまっている」との考えから、選手はタスキを渡してくれた前走の選手、タスキを渡す後続の選手、そして控え選手やスタッフのことが頭によぎり、絶対に棄権するとは言いません。

 

今回の場合、岩谷産業は初出場で飯田怜選手は今春に入社したばかりのルーキーです。多くの先輩選手がいる中、大抜擢されて出場している選手です。念願の初出場を果たし、多くの先輩選手の気持ちを考えれば、口が裂けても「棄権する」とは言えないでしょう。

 

f:id:naga-aya-omiya:20181022154254j:plain

 

また、監督・コーチらチーム関係者も、選手たちが日頃の厳しいトレーニングに耐えてその日を迎えていることを知っているだけに、絶対に棄権しないと踏ん張っている選手をなかなかストップさせることはできません。

 

さらに、主催者も記録員もたいていは陸上競技の経験者か元指導者です。選手の気持ちもチーム関係者の気持ちも痛いほどよくわかります。

 

実際、飯田怜選手の痛々しい姿に、「もう止めようか」「いや、俺は、最後までやらせてやりたい」という大会関係者らしき男性の声をテレビ中継のマイクが拾っていました。

 

 

ドクターストップ制度が必要

棄権させることができる主催者・記録員・チーム関係者が、選手の気持ちがわかりすぎるくらいわかるがために、それで重大な事故につながってしまったのでは本末転倒です。

 

ボクシングやいくつかの格闘技の試合では、流血したりケガをした可能性のある選手をリング下に控えているドクターがチェックします。

 

ドクターがこれ以上試合を続けると危険だと判断した場合、その時点で試合は終了します。いわゆるドクターストップです。

 

ストップされた選手が「まだできる」とどれだけ訴えても、判定は決して覆ることはなく、みながその判断に無条件に従わねばなりません。

 

駅伝にもこのドクターストップの制度を採り入れてはいかがでしょうか。

 

駅伝の1区間は長くて10kmですから、3人ほどドクターを配置します。選手に異状が見られたらドクターが素早くかけつけ、チェックします。そして、ドクターの判断で「これ以上、走るのはムリ」となった場合、無条件で「棄権」とするのです。

 

選手に情が移ってしまう人ばかりで棄権するか否かを判断するより、純粋に医学的見地から判断した方がよっぽど選手のためになるというものです。

 

「私はまだ走れたのに、ドクターストップがかかってしまって・・・」このように選手がコメントすれば、誰も傷つかないと思うのですが。

 

以上、『プリンセス駅伝で膝を血に染めて這った選手を見て、ドクターストップ制度が必要だと感じた。』でした。