サッカー・ワールドカップをテレビで観ていると、ビール片手に一喜一憂している各国のサポーターの姿が映し出されます。
寒いイメージの強いロシアですが、この季節は気温30度をゆうに超える暑さですから、さぞかしビールは美味しいことでしょう!サッカーだけでなく野球など屋外スポーツの観戦の醍醐味でもあります。
4年後の次回大会の開催地は中東のカタール。7月は気温50度にもなることがあるといいますから、サッカー観戦にはビールは欠かせません。
しかしながら、カタールは敬虔なイスラム教の国です。戒律によって飲酒は禁止されています。もしかしたら、ビールを飲みながらの観戦はできないかもしれません。
カタールという国について
正式な国名は「カタール国(State of Qatar)」。アルファベットの「Q」で始まる国は世界でカタールただ1つです。
首都はドーハ。そうです、サッカーファンなら一度は耳にしたことがある「ドーハの悲劇」のドーハです。
面積は日本の秋田県より少し狭く、人口は約250万人。典型的なアラビア半島北部の気候で、高温多湿な夏季(7~8月)には気温50度を超えることがあります。
原油・天然ガスが算出され、いわゆるオイル・マネーで潤う豊かな国ですので、教育や医療、各種社会保障サービスは無料で提供されています。
国民の大多数が敬虔なイスラム教徒であり、国もイスラム教を国教と定めています。法制度も、国が定めた法律とともにイスラム教の戒律が併用されています。
カタールでは飲酒が禁止
イスラム教では飲酒は厳禁です。その理由は、信者は神(アッラー)と真剣に向き合うことが求められるのに、アルコールを飲むと酔ってしまって他の邪悪な事を考えてしまうからという説があります。
イスラム教を国教とするカタールですが、イスラムの戒律を外国人の異教徒に強制することはありませんが、イスラムの教えがそのまま法律として施行されている場合があります。
飲酒と酒類の製造・販売が原則として禁止されています。街中には酒店がないのはもちろん、地元の人が行く一般的なレストランには酒類は置いていません。(ノンアルコールビールを置く店は増えているそうです)
ただ、一部の高級ホテル内のレストランにおいてのみ酒類のサービスが受けられます。また、一定以上の収入のある外国人居住者に対しては、政府の許可を取得していれば、ドーハ市内の特別な販売店から酒類を購入することができます。
このいずれも、実質は異教徒の外国人を対象にした特例と考えるべきです。カタール人はまず、飲酒はしないということです。
ビールを飲みながらのサッカー観戦はできない!?
同じイスラム教の国でも、トルコやインドネシア、マレーシアなどは戒律を厳格に解釈しないで世俗的です。
カタールも世界中からサッカー観戦に訪れる外国人をもてなすため、一時的に戒律を緩める特例を認めることも予想されますが、あまり期待できません。
カタールをはじめとする中東のイスラム諸国は、戒律を厳格に解釈することで国家が保たれている側面があります。国民生活の中心にイスラム教があるといって過言ではありません。イランなどは憲法の第1条に「主権は神にある」と書かれているくらいです。
特例中の特例ということにしても、飲酒を認めたのだから、豚肉(イスラム教では厳禁)も認めろといって歯止めが利かなくなることを政府は恐れることでしょう。何よりも国民が大反発すると考えられます。極端な事を言えば、酒を飲んでいる外国人を対象にしたテロが発生しかねません。
仕事でドーハに行ったことがありますが(しかも7月下旬)、気温40度を超える屋外は、暑いというより体が溶けるという感覚です。そうした環境でのサッカー観戦ですから、ビールも飲めないなんて地獄です!
ただ、2022年カタール大会は、通常の6月開幕から11月開幕へと変更されたようです。日本では11月というと肌寒くなる頃ですが、カタールでは30度を切るくらいの暑さがあります。いずにせよ、ビールが恋しくなることに違いはありません。
おわりに
カタールと同じく敬虔なイスラム教の国であるサウジアラビアから日本に帰国する際のことです。飛行機が離陸する前にドリンクのサービスがあり、ビールを頼みましたが当然ながらNGでした。
それが、離陸してしばらく時間がたったらビールが運ばれてきました。「サウジアラビアの領空を通過しましたので」とCAが笑顔で言いました。
これほどまでに飲酒禁止は徹底されています。でも、ものは考えようです。酔っ払ったフーリガンが大暴れしないことを思えば、いいことなのかもしれません。
以上、『サッカーW杯次回開催地カタールではビールを飲みながらの観戦はできない!?』でした。
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