税や保険料など、何でもかんでも給料から天引きされるサラリーマンって、つらいですよね。
そんなサラリーマンにとって、確定申告の医療費控除で税金が還付されるのは嬉しい限りです。
その医療費控除で、レーシックは控除が認められるに、メガネ・コンタクトは認められません。
同じ視力の矯正なのに、なぜなのか?を財務省と税の専門家に聞いてみました。
医療費控除の対象
医療費控除の対象となる範囲は、病院にかかった費用だけでなく、ドラッグストアで買った風邪薬や栄養ドリンク、整体・マッサージなど、結構広いです。以下、具体的に示します。
- 市販薬 病気や怪我を治療するためものであること。万一に備えての「置き薬」はダメ
- 栄養ドリンク 病気、怪我の症状を改善するために買ったもので、「医薬品」であること。
- 整体・マッサージ 身体の不調を改善するために受けたもので、国家資格を有する人から施術された場合
- 禁煙治療
- ED治療
- 薄毛治療 何かの病状による脱毛が原因であること
- 子どもの歯の矯正 大人は不可
- 虫歯の治療(銀歯・セラミック)
- 病院紹介状作成料
- 病院に行くのにかかった交通費 電車・バスのみ
- レーシック
思っていたより広範囲に及びますよね。広範囲だけに、対象と対象外の線引きをどのようにしているのかが気になります。
「治療目的」と「医師の指示」で線引き
どうやら、「治療目的」が明確か、あるいは、「医師の指示」があってのことか、がポイントになるようです。
したがって、個人の希望や趣味、美容などで支出されたものは対象外となります。
そうなると、メガネ・コンタクトレンズにかかった費用は、治療ではないから対象外。レーシックは 視力を矯正する目的(=治療目的)なので対象となります。
ただ、斜視、白内障、緑内障などで手術後の機能回復をはかるために装着するものや、幼児の未発達視力を向上させるために装着するメガネ、角膜炎の治療後に目を保護するために装着するコンタクトレンズは、医師による治療の一貫として必要な費用なので、控除の対象となるようです。
財務省に聞いてみた
私は、コンタクトレンズをつけています。夜ははずしてメガネをかけます。
メガネは一度買えば、数年は持ちますが、コンタクトは洗浄等のケア用品に、年間を通じて結構な額がかかります。
裸眼だと0.2。メガネ・コンタクトがないと日常生活がおくれません。メガネ・コンタクトをつけて視力を矯正し、日々、暮らしています。
レーシックも視力矯正を目的とします。同じ視力矯正なのに、控除対象と対象外とに分けられることが、どうも納得いきません。
それで、何年か前、財務省に質問したことがあります。ご丁寧に文書で返答がきました。
ご質問の眼鏡やコンタクトレンズの購入費用あるいはケア用品購入費用についてですが、これらの費用は、視力を回復させる治療の対価ではないことから、医療費控除の対象とはならないと承知しております。
「視力を回復させる治療の対価ではない」と言いますが、小中学生の頃に視力が落ちて、眼科医に行くと「眼鏡をかけなさい」と指示されて、処方箋がつくられ、眼鏡店に行くわけです。立派に指示が医師から出されているではないですか!
そもそも、なぜ治療が必要なのか。それは、そのままだと日常生活に支障をきたすからです。視力が悪くて日常生活に支障をきたすから、ある人はメガネ・コンタクトを、ある人はレーシックをするわけで、手段が違うだけだと思うのです。
税の専門家に聞いてみた
納得いかないので、次は税の専門家に聞くことにしました。国税庁に長らく勤め、退職後は関西大学教授として活動している方です。
公式には財務省が答えた通り。でも、ホントのところは税収の確保にある。・・・日本人は近視が多いので、メガネ・コンタクトを控除対象としたら、還付額が莫大になって税収の確保ができなくなると国は考えている。
この教授の言い方だと、対象となる母数が多いと控除の対象とならないということ。でも、ドラッグストアで風邪薬を買っても対象となります。母数はものすごく多いのに。
まとめ
医療費控除の公式見解としては、治療が目的かどうかです。
治療目的ではないと理由で、メガネ・コンタクトだけでなく補聴器も控除の対象となりません。さらには、不慮の事故で失った手足を補うための義手・義足も対象にはなりません。
日常生活を送るために視力・聴力・肉体を補う費用が、どうもスッキリしない理由で控除の対象とならないことが腹立たしくてなりません。
以上、『【確定申告の医療費控除】レーシックが認められて、メガネ・コンタクトが認められない理由を専門家に聞いてみた』でした。