希望の党と民進党が合併して結成される新党は「国民民主党」。
これを聞いて、思わず吹き出してしまった人もいるでしょう。かく言う私もその一人です。
でも、笑ってばかりいられないのが政治の世界。もしかすると、この国民民主党の結成が、衆院解散のトリガーを引くことになるかもしれません。
希望と民進が国民民主党を結成
希望の党と民進党は4月24日、両党の幹部による新党協議会を開き、合併して新たに結成される新党の名称を「国民民主党」にすることを決定しました。
党の綱領や基本政策はすでに決めており、両党は党内手続きを進め、5月の連休明けにも正式に発足する見込みということです。
気になる党の綱領については、「穏健保守からリベラルまでを包摂する国民が主役の中道改革政党を創る」としています。
基本政策については。集団的自衛権の行使を認めた安全保障関連法は「憲法違反と指摘される部分を白紙撤回する」とし、原子力発電に関しては「2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入する」と明記しています。
ちなみに、国民民主党ですが、調べてみると1950年に、後に首相となる三木武夫氏らが同名の政党を結成していました。
また、ポーランドやチェコ、エジプト、ウズベキスタンなど海外でも普通にある政党名となっています。
なぜ、今、国民民主党結成なのか?
昨年10月に衆院選をやって半年ほどしか経っていないのに、なぜ、今、新党なのかと疑問のを持たれるかもしれません。
昨年9月に衆院が解散された際まで遡ります。当時の民進党は、衆院選に立候補を予定している公認候補は全員が、小池百合子東京都知事が設立した希望の党から出馬し、選挙後に民進党は希望の党へと合流することを決めていました。
その流れから、民進党は、枝分かれした希望の党、立憲民主党、無所属議員らに新党結成を呼びかけ、希望の党がその呼びかけに応じたということです。
新党結成が今の時期になった理由は、連合が4月末に開催す「メーデー」との関係があげられます。
来年(2019年)には春に統一地方選挙、夏に参議院議員選挙が控えています。立候補予定者からすれば、最大の支持団体である連合の組合員が集まるメーデー(地域によっては1000人規模)で、「来年、○○党から立候補を予定しています」とスピーチしたいところです。
こうした声は地方組織からかなりあがってきているようで、それに最大限の配慮したということです。
ただ、幸か不幸か、微妙な時期と偶然にも重なってしまったため、いろいろな憶測を呼ぶことにつながりました。
国民民主党が衆院解散のトリガーを引くか
今、永田町に、衆院の解散があるのではという「解散風」が吹いていることは、過去に記事にしました。
安倍政権・自民党にとって、野党がバラバラになっている状況での選挙がベストです。一方、バラバラだった野党が「反自民」で結集し、共産党まで巻き込んでの共闘体制が構築されることは、悪夢以外の何者でもありません。
そして、バラバラだった野党のうちの2つが合併して国民民主党が結成されたのです。今は立憲民主党は独自路線を貫いていますが、一寸先は闇。時が経てば、立憲民主党をも加えたさらに別の形で大きな塊ができ、共産党を巻き込んでいきかねません。
時間が経過すればするほど、自民党にとって不利な状況となっていきかねない流れつくったのが、国民民主党だというわけです。
そうならないために、つまり、国民民主党と立憲民主党とが並立し、共産党や社民党が態度を決めかねているうちに解散してしまうという考えは、決して突飛なことではないということです。
内閣不信任案をめぐる攻防
立憲民主党の枝野幸男代表が内閣不信任案の提出を検討中との報道がありました。
立憲民主党の枝野幸男代表は、森友・加計学園問題など安倍政権の一連の不祥事や疑惑を受け、内閣不信任決議案提出を検討する考えを明らかにした。ただ、提出時期については「最も効果的な局面で使わなければならない。まずは全貌解明を求めていく」と述べるにとどめた。
(出典:『時事ドットコム』
内閣不信任案が賛成多数で可決されれば、憲法の規定により、内閣総辞職か衆院を解散しなければなりません。ただ、現在の衆議院の状況は、与党の自民党・公明党が大多数を占めているため、普通なら簡単に否決されてしまいます。何の波風も立ちません。
ただ、安倍首相が衆院解散を念頭に置いているとすれば、話は別。内閣不信任案提出は、「渡りに船」となりえます。
いくら何でも、特段の理由も示さずに解散するわけにはいきません。しかし、野党から内閣不信任案が提出されれば、「野党は内閣不信任だと言っているので、国民に信を問いたい」と立派な大義名分が出来上がることになるからです。この場合、衆院本会議で採決をする前、不信任案が提出された時点で、解散ということになるでしょう。
たいていの場合、内閣不信任案は国会会期の最終日に提出されます。しかし、不信任案が否決された後、国会審議に応じなくても世論の理解は得られると判断できれば、会期最終日を待たずに提出も可能です。枝野代表が言っている「最も効果的な局面」とはこのことです。
今の国会は6月20日まで。それより前に内閣不信任案が提出されたなら、それだけ野党に有利な状況になっていることになります。
連休明けから内閣不信任案の提出をめぐる攻防が激しくなりそうです。
まとめ
6月20日までの国会会期中に、内閣支持率の低下に歯止めがかかるとは思えません。したがって、永田町に解散風が吹き止むことはないでしょう。ましてや、国民民主党が結成され、内閣不信任案の提出を検討、ということになると一層現実味が出てきます。
ただ、解散されないこともあります。その時は、安倍首相が秋の自民党総裁選に出馬しないことを決めたということを意味します。
いずれにしても、過去の記事で読者の方からコメントを頂きましたが、この間の流れは、国民不在・政策不在であることは確かです。
以上、『衆院解散のトリガー? 希望と民進が国民民主党を結成』でした。