「万里の長城は宇宙から見える」
こんな話を一度は聞いたことがあると思います。
確かに、万里の長城は巨大な建造物で、遠くからでもはっきりと肉眼で見ることができます。
でも、本当に宇宙からも見えるのでしょうか?
《万里の長城》
何度か「万里の長城」へは行ったことがあります。全長6259.6㎞。沖縄から根室までが直線距離で2480㎞ですから、1往復半という計算になります。
つくづく、こんな巨大な石壁を6千キロ以上も作り続けたものです。よほど、漢民族にとって長城以北の異民族は恐ろしかったのでしょう。長城に行く度に、彼らが北方の異民族に「犭」のついた名称で呼んでいた理由がわかったような気分になります。
「万里の長城」
匈奴のような北方の異民族が侵攻してくるのを迎撃するために、秦代の紀元前214年に始皇帝によって建設された。その後、いくつかの王朝によって修築と移転が繰り返された。現存しているものの大部分は明代に作られたものである。
世界遺産に登録されており、2007年には「新・世界7不思議」にも選ばれている。(出典:Wikipedia)
《中国人宇宙飛行士が否定》
「宇宙から肉眼で見える唯一の人工建造物は『万里の長城』だけ」という話は、中国の国語の教科書にも掲載されていました。
日本のテレビの旅番組でも、同様の紹介がよくされています。
しかし、2003年、中国の宇宙船「神舟5号」に乗った中国初の宇宙飛行士が「宇宙から万里の長城は見えなかった」と証言し、あっさりと否定されてしまいました。
「世界一」が大好きな中国も、さすがに、「宇宙空間から肉眼で観測することは不可能」との見解を中国科学院が発表し、教科書も改められました。
《中国科学院の見解》
長城の平均の幅はわずか10mほどで、狭く不規則な長城は、36㎞ほど離れたところで人間の視界から消失する。
宇宙船の飛行速度は300から400㎞あるが、300㎞の高さからは地上にある500㎞四方の物体が何とか1つの点として認識できるくらいのものであり、幅が10mの長城では明らかにこれに足りないのである。
《まとめ》
そもそも万里の長城は、北から侵入する異民族を、横にずらりと一列に並んだ兵士が弓や鉄砲で撃つために設計されており、横幅はとても狭く出来ています。
そう考えれば、中国科学院の見解は納得がいきます。
歴史上の見解を変更することは絶対にしないのが中国の基本姿勢ですが、科学的な見解はそういかなかったということでしょう。真実は1つですから。
以上、『「万里の長城は宇宙から見える」はウソ』 でした。