「確定申告は不要」と思っているサラリーマンの方が多いのではないでしょうか。しかし、サラリーマンでも確定申告を行えば、毎月の給料から天引きされている税金が返金されることがあります。
その代表的なのが、医療費控除。市販薬やマッサージなども対象となりえます。
サラリーマンもやらなければ損する確定申告。ここでは、医療費控除の利用についてご紹介していきます。
- 〈確定申告のよくある勘違い〉
- 〈確定申告の医療費控除とは?〉
- 〈医療費控除は家族の分も入る〉
- 〈市販薬・マッサージなども控除の対象〉
- 〈5年間は有効〉
- 〈2018年から領収書の添付が不要に〉
- 〈まとめ〉
〈確定申告のよくある勘違い〉
- 確定申告って、個人で事業とかやってる人がするもの。サラリーマンには関係ない。
- 医療費控除は、病院からお金が返ってくるの?
- いちいち、領収書を作ってもらっていないから、確定申告はムリ。
確定申告のよくある勘違いとしては、以上のような感じでしょうか。
確定申告というと個人事業者や住宅を購入した場合などに限るとイメージがありますが、普通のサラリーマンも含めて、所得税を納めている人は全員、その対象に入っています。
サラリーマンが確定申告をする場合、最もポピュラーなのは、医療費控除です。「医療費」となっていますが、病院などから還付されるのではありません。税務署に確定申告を行って、すでに納めた税金の一部を還付してもらうのです。
また、医療費控除には証拠として領収書が必要ですが、はんこが押された正式の領収書だけでなく、一般的なレシートでも十分です。
〈確定申告の医療費控除とは?〉
医療費控除とは、毎年1月1日から12月31日の1年間、一定額以上の医療費を支出したときに、所得税が軽減される(すでに納めた税額から差し戻される)制度です。
一定額以上の医療費とは、約10万円だと思って下さい。正確に言えば、「10万円以上か、所得の5%以上の医療費がかかった場合」に対象となります。
サラリーマンの大半は、所得が200万円以上ありますので、「10万円以上」と理解しておけばいいです。
気になる還付額ですが、3万円~5万円が返ってきます。結構、大きいですよね。
〈医療費控除は家族の分も入る〉
対象となる医療費は、あなたが支出した分だけではありません。妻、子どもといった家族の分も対象となります。
正確には、「自分」と「自分と生計を一にしている配偶者・親族」の分が対象ということです。
「生計を一にしている」とは難解な言葉ですが、「家族」が該当すると理解して下さい。この「家族」には、同居している祖父母が当然含まれますし、地方に住んでいる両親に「仕送り」をしているような場合、大学生の子どもが1人暮らしをしている場合も含まれます。
〈市販薬・マッサージなども控除の対象〉
「入院とか大きな病気をしないと、年10万はいかないのでは?」と感じる人も多いでしょう。
実は、控除の対象範囲は結構、広いのです。病院にかかた時の費用だけではなく、ドラッグストアで買った薬や栄養ドリンク、マッサージ・整体、レーザー治療や子どもの歯の矯正にかかた費用も、一定の条件を満たせば、控除の対象となります。
以下、具体的に示していきます。
- 市販薬 病気や怪我を治すために買ったものであること。万一に備えての「置き薬」は不可。
- 栄養ドリンク 病気、怪我の症状を改善するために買ったもので、「医薬品」であること。
- マッサージ・整体 身体の不調を改善するために受けたもので、国家資格を有する人から施術された場合。
- 禁煙治療
- ED治療
- 薄毛治療 何かの病状による脱毛であること
- 視力回復のためのレーザー治療
- オルソケラトロジー(角膜矯正療法)
- 虫歯の治療(銀歯・セラミック)
- 子どもの歯の矯正
- 病院に行くのにかかった交通費 電車・バスのみ。
- 紹介状作成料 診断書作成料は対象外
どこで線引きされているのかわからない面もありますが、要は、「治療目的」や「医師の指示で使ったもの」と理解することができます。
一方、「個人の希望・趣味」や「予防・美容」で使ったものは対象になりません。
ですから、インフルエンザの予防接種は予防だからダメ。メガネ・コンタクトレンズにかかった費用も治療ではないからダメ。歯のホワイトニング、大人の歯の矯正は美容目的だからダメ。子どもの歯の矯正は、歯の噛み合わせ直すのは成長を阻害しないようにする医療行為だからOKということになります。
〈5年間は有効〉
ここまで読まれてきて、「しまった、2年前にレーシックをやったのに、申告しなかった」と悔やんでいる人がいるかもしれません。
でも、大丈夫です。確定申告は5年前までさかのぼることができますから、手続きを今年やっても、きっちりと還付金をもらうことができます。
今までやったことがないという人、一度、領収書などを探してみてはいかがですか?
〈2018年から領収書の添付が不要に〉
これまで、医療費控除を受けるためには、領収書を添付しなければなりませんでした。
しかし、2018年からは領収書の添付は必要なくなりました。そのかわり、領収書は自分で5年間、責任を持って保管することが義務づけられました。
具体的には、家族の名前ごとに支配先の病院名や薬局名・店名、支払金額を一覧にすることとなりました。税務署がチェックしていくなかで疑問が生じた際は、領収書の提示が求められることになります。
〈まとめ〉
医療費控除の制度は、国民が健康を維持するために要した費用のまで税をかけるのはいかがなものか、ということで出来た制度です。
ですから、国のご厚意に甘えて、しっかりと確定申告しましょう。
領収書を集めるのがやっかいですが、レシートでもOKです。やむをえない場合には家計簿やメモで代用することも可能です。病院に行く時の交通費も、自分で記録をとっていれば大丈夫です。
ご自分だけでなく、家族も対象となりますので、集めれば意外と軽く10万円は超してしまいますよ!
ちなみに、私は、毎年4万円前後の還付金をもらい、夏の家族旅行の一部に使っています。
以上、『マッサージ、市販薬、子どもの歯の矯正も医療費控除 サラリーマンもやらなきゃ損する確定申告』でした。