幼少の頃、大阪の京阪電車沿線に住んでいました。家がJR線から離れていたため、電車といえば京阪電車で、特に茶色の特急電車は大のお気に入りでした。
その京阪電車には、少々の災害・事故では止まらないという「京阪電車最強伝説」があります。しかし、今年6月の大阪府北部地震では全線で運休となりました。
伝説は止まったものの、全線復旧はとても早く、「やっぱり強かった」と鉄道ファンのみならず利用客をも唸らせています。
『京阪電車最強伝説』止まる
2018年6月18日、マグニチュード6.1の直下型地震が大阪府北部を襲いました。
JRをはじめとして近畿エリアの私鉄主要路線がすべて麻痺。ちょうど通勤・通学の時間帯だったこともあり、車内に長時間閉じ込められたり、線路を歩いたりと大変な状況となりました。
一部の鉄道ファンの間で話題となったのは、京阪電車が全線で運転を見合わせたことでした。京阪電車には少々の災害・事故では止まらないという「京阪電車最強伝説」があったからです。
実際、1995年の阪神大震災でも普通に運行を続けていましたし、2014年に近畿地方を大型台風が直撃した際も全面運休にはなりませんでした。
その京阪電車が止まったのだから、今度の地震はよっぽどのものだったと京阪沿線の方は思ったのではないでしょうか。
なぜ、『京阪電車最強伝説』?
①全線にわたってカーブが多い
なぜ、『京阪電車最強伝説』なるものが生まれたのでしょうか?
鉄道ファンの知人に尋ねたところ、京阪電車は「全線にわたって非常にカーブが多くて、スピードは出せない事が理由だ」と言っていました。
京阪電車は1910年、大阪・天満橋~京都・五条間で開業し、現在は大阪府・京都府・滋賀県に計91.1キロの路線網を持っています。
京都市・三条駅と大阪市・淀屋橋駅は地下にあるものの、地上部分の多くは土地収用の関係からか、とてもカーブが多くなっているのは事実です。これは開業時から「京阪電鉄カーブ式会社」(正しくは京阪電気鉄道株式会社)と皮肉られてきたことからも明らかです。
しかし、結果的にはカーブが多いために最高速度が抑えられてしまいます。スピードが上がれば上がるほど、保線などに細心の注意を払わねばならないため、スピードがでにくい京阪電車は安全面の確認作業が他社に比べて異常に早く終わってしまうといわれています。
②日本初の取り組み
京阪電車は日本初の取り組みが多いことが知られています。最新技術を駆使した車両の導入のほか、日本で最初に特急電車を走らせたのも京阪電鉄です。
また、2004年には鉄道会社としては初めて、環境国際認証「ISO14001」を獲得するなど、意識の高い社内文化があります。
さらに、直接に関係はないかもしれませんが、沿線には「ひらかたパーク」があります。「ひらパー」の愛称で親しまれ、京阪神の子どもなら必ず1度は行くことで知られていますが、継続して現存する日本最古の遊園地でもあります。
非常に早い復旧 やっぱり強かった!
大阪府北部地震が起きたのは6月18日午前7時58分。直後に京阪電車も全線で運休しましたが、同日午後2時には全線で復旧しています。わずか6時間で全線復旧です。
営業距離の関係があるものの、非常に早い措置と言えるでしょう。JRはこの日、「○時までに復旧します」「○時の復旧はできなくなりました」というアナウンスを繰り返し、車内に閉じ込められている乗客や駅でひたすら待ち続けている乗客の不評を買っています。
これと比較しても格段に早く復旧し、「京阪電車の強さ」の片鱗を見せつけた格好となりました。
阪急や近鉄、南海など陰に隠れがちだった京阪電車の底力が発揮され、伝説は止まったものの、「やっぱり強かった!」と鉄道ファンのみならず利用客をも唸らせました。
以上、『大阪府北部地震で『京阪電車最強伝説』は止まったが、やっぱり強かった!』でした。