200億円の大赤字予想のラグビー・ワールドカップ、最後は税金投入か。

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いよいよサッカー・ワールドカップ・ロシア大会が来月6月から開幕します。今回は突然の監督解任劇があったりしますが、何となくやってくれそうな気がしています。

 

一方、あまり話題に上らなくなっていますが、ラグビー・ワールドカップは来年(2019年9月)に日本で開催されます。すでにチケットが販売されていますが、今の段階で、200億円の大赤字が出ると予想されています。

 

暗い先行きといっても過言ではありませんが、なぜ、こんなことになるのでしょうか?

 

 

 

盛り上がらないラグビー・ワールドカップ

前回大会(2015年・開催地イングランド)で、日本が南アフリカに試合終了間際に大逆転勝利を飾った試合を観て、ラグビーファンになった人は多いでしょう。(私もその1人)

 

そして、次の大会が日本で開催されると聞いて、とても期待が膨らんできます。

 

ラグビーワールドカップ日本大会は、2019年9月20日から11月2日の日程で、全国12会場で開催されます。

 

すでにチケットの販売も行われていますが、どうも盛り上がりに欠けるようです。実際、大会組織委員会が行った全国調査では、日本で開催されることを知っている人は56.3%にとどまったということです。

 

実は、盛り上がりに欠ける要因の1つは、2017年末以降からワールドカップのPRのための予算が大幅に削られていることがあげられています。

 

というのも、大会組織委員会の試算で、150億円~200億円の大赤字になるとの予想が出たらしく、慌てて予算を削り始めたというのが実情のようです。

 

そもそもはこの大赤字は、2009年に日本に招致を決定した時点から予想されていたというから驚きです。

 

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ラグビー・ワールドカップの財政

なぜ、最大で200億円もの大赤字となってしまうのでしょうか。それは、ワールドカップ開催の財政の仕組みに特徴があるからです。

 

ワールドカップのようなスポーツの国際大会は、テレビの放映権料とスポンサー企業の広告料で賄われるのが通常です。

 

しかし、ラグビーのワールドカップでは、この2つの莫大な収入が入るのはラグビーの国際統括団体である「ワールドラグビー」のみ。日本側の収入にはならない仕組みとなっているのです。

 

さらに、ワールドカップ開催にあたっては、「ワールドラグビー」に開催保証金として9,600万ポンド(約180億円)を納めなければいけない規定となっています。保証金といっても開催後に返還もされませんので、上部団体への上納金のようなものです。

 

また、大会全体の諸々の運営費も日本が負担しなければなりません。

 

こういう財政の仕組みですから、ラグビー人気が高いヨーロッパならいざ知らず、日本で開催するには赤字も覚悟の上ということだったようです。

 

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入場料収入だけで大会を運営

テレビの放映権料とスポンサー料が得られないとなると、残るは入場料収入だけです。ラグビー世界王者を決める大会を、入場料収入だけで運営しなければならないのです。

 

大会運営費さらに開催保証金も捻出しなければならないため、入場料の設定が高額にならざるをえません。

 

大会組織委員会は、入場料収入を目標300億円に設定し、平均価格を1枚2万円としました。

 

実際、開幕戦の日本戦は、カテゴリーA席が5万円、最安値のD席でも1万5000円となっています。他の1次リーグの日本戦はA席4万円、D席1万円という値段です。かなり強気な価格設定です。

 

「こんな高額では、閑古鳥が鳴くぞ」という声があがる一方で、「日本戦なら大丈夫」という楽観的な意見が交錯し、「いっそのこと、五郎丸にチケットの"もぎり"をさせようか」との笑えない冗談が飛び出す有様です。

 

先述した大会組織委員会が行った全国調査で、「ワールドカップを観戦したいですか」との問いに「はい」と答えた人は7.8%。調査のサンプル数は31万人。

 

もし、その7.8%全員がチケットを買ったとしても2万4000人の計算になり、目標としている1試合平均4万2000人にはほど遠いものとなります。

 

やはり、赤字は必至ということです。それを覚悟の上でワールドカップを招致したというのですから・・・。

 

 

最後は税金投入か?

ラグビー・ワールドカップの日本開催は、森喜朗元首相(早稲田大学ラグビー部出身)をトップとする日本ラグビー界の悲願です。

 

その実現のために、「多少の赤字は覚悟の上」で開催される日本大会。ラグビー人気を盛り上げ、ファン拡大のためのワールドカップ開催に異議はありません。ただ、最大200億円の赤字は「多少の赤字」とはいえません。

 

赤字削減のために、入場料収入のほかに、試合会場となる自治体に合計36億円の拠出を求めています。12会場で試合が行われますから、1会場あたり3億円になります。

 

ワールドカップが行われることによって、様々な経済効果が期待できますので、自治体としては喜んで支出するのかもしれません。

 

また、スポーツくじtotoから補助を得る枠を確保しています。totoの収益は「すべてのスポーツのために使われる」と謳っています。いろいろなスポーツの普及と強化のために計画的に使われるべきtotoが、1つのスポーツ大会の赤字の穴埋めになし崩し的に使っていいものでしょうか?

 

それでも赤字が残った場合はどうなるのか。残された道は、税金で補填するしかなくなります。オリンピックならいざ知らず、こうした形での税金の投入は、果たして世論の支持が得られるのでしょうか。

 

五郎丸選手をはじめとする日本代表には、もっとスッキリとした環境でプレイできるよう、大会関係者はさらに知恵を絞ってほしいと思います。

 

以上、『200億円の大赤字予想のラグビー・ワールドカップ、最後は税金投入か。』でした。