.entry-content { line-height : 1.7 ; font-size: 16px; letter-spacing:1; } .entry-content p { margin-bottom : 2.0em ; }

金正恩のひとりごと。「核が私の生きる道」

スポンサーリンク

f:id:naga-aya-omiya:20180412173444j:plain

 

国際社会の猛烈な批判と制裁措置を受けながらも、核実験やミサイル発射を行ってきた、北朝鮮の金正恩。

 

アメリカのトランプ大統領との米朝首脳会談がホントに実現されるなら、歴史的な出来事になるに違いありません。

 

しかし、よく言われるように、金正恩は核を手放し、朝鮮半島の非核化は実現するのでしょうか。

 

なぜ、今まで、核にこだわり続けてきたのか。

 

それは、金正恩にとって、「核が私の生きる道」だからです。

 

《金正恩の人物評価》

2011年、父親の金正日の死去を受けて、金正恩は正式に北朝鮮の最高指導者となりました。それまでの金正恩は、後継者と目されてはいたものの、国際舞台での活動もなく、どのような人物なのかの評価がまったくありませんでした。

 

以降、しばらくは、国際社会はあげて金正恩の人物評価を行いました。

 

「ただの3世のボンボンなのか? それとも話すに足る人物なのか?」

 

幼少期はスイスに留学しており、クラスメイトの人望も厚く、学業成績も優秀で英語・中国語・ロシア語が堪能だという説。

 

最高指導者になった直後、軍の視察に行った際に、双眼鏡を上下逆さまにして使っていた映像が流出すると、「やはり、3世のボンクラだ」という説。

 

まあ、諸説いろいろありましたが、ここへきての評価は、「正しい情報が上がってくれば、正しい判断ができる」「老かいな政治技術を駆使するタフネゴシエーター」(外務省職員の言葉)というものです。

 

《独裁国家の末路を研究》

金正恩は、2011年に正式に最高指導者となる前後から、世界中の独裁国家の末路を描いた文献を読みあさっていたという有力な情報があります。

 

特に、関心を持ったのはイラク、リビア、イランです。

 

イラクとリビアは、かつては強大な独裁国家でした。イランは今もなお独裁体制の国です。同じ独裁国家なのに、イラクとリビアの独裁は滅んで、イランは独裁体制が維持されています。なぜなのか?

 

イラクはイランとの戦争を10年近くも行うなど、強大な軍事力を持っていたにもかかわらず、アメリカの攻撃の前にあっけなく敗れ、サダム・フセインは逮捕されてしまいました。

 

リビアのカダフィーは、「アフリカの王」を自称するほどの力を誇り、核開発に乗り出しました。しかしながら、欧米の経済制裁を受けて国力が疲弊し、核開発を断念しました。その途端、アメリカの攻撃を受け、カダフィーは殺害されてしまいました。

 

そしてイランは、豊富なオイルマネーを背景に、強大な祭政一致の国をつくりあげ、核開発に乗り出します。国際社会の様々な批判や制裁措置に屈することなく、核保有政策にこだわり続けた結果、アメリカの攻撃を受けることなく、現在もなお体制は維持されています。

 

つまり、金正恩は、イランは核を持ち続けたからアメリカの攻撃を受けなかった(=体制を維持できた)、リビアは核開発を途中で断念してしまったから、アメリカの攻撃を受けた(=体制の崩壊)、イラクはそもそもが核を持とうとしなかったからアメリカの攻撃を受けた(=体制の崩壊)と結論づけるわけです。

 

f:id:naga-aya-omiya:20180412173521j:plain

《「核が私の生きる道」》

北朝鮮は、金日成、金正日、金正恩と3代にわたって最高指導者が世襲されてきました。一応は、憲法にもとづいて最高指導者に就任しているというものの、事実上は世襲制がとられています。

 

いわば、王様が君臨する王朝のようなものです。金王朝です。

 

王朝は王様が死ぬと、王朝そのものが崩壊の危機になります。「金正恩の死=金王朝の崩壊」という図式になります。

 

ですから、金正恩は自分が生き残ることが、すなわち、王朝を守ること(=体制の維持)につながると考えています。国民の生活など、ほんの少しも考えたことはないでしょう。

 

また、内部崩壊、すなわち独裁体制から民主主義体制への移行も避けなければなりません。そんなことになれば、金王朝の一族は間違いなく人民裁判にかけられて処刑されるからです。

 

したがって、金正恩が生き残るためには、現在の独裁体制を維持し続けることしかないのです。

 

そうなると、めざすべきはイランということになります。

 

イラクのフセインもリビアのカダフィも核を持っていなかったからアメリカに滅ぼされたではないか。イランは核を持ち続けたからこそ存続している。そして、我々も、核を放棄しなかったから体制を維持できているのだ。「核が私の生きる道」なのだ。

 

そんな金正恩のひとりごとが聞こえてきそうです。

 

《米朝会談の行方》

実現するとすれば(ドタキャンは十分にありえる)、本年(2018年)5月ないし6月に米朝首脳会談となります。まさに歴史的です。

 

ここでの唯一最大の論点は、北朝鮮の核となることは言うまでもありません。

 

上述してきたように、金正恩にとって核は自らの生死に関わる問題だけに、そう簡単に手放すはずはありません。

 

ただ、金正恩の目的は自らが生き残ることで、核はその目的を達成するための手段です。目的の達成のための最大の邪魔者がアメリカで、それを制するために必要な手段が核というわけです。

 

となると、金正恩の目的を達成するとアメリカが約束した場合、核という手段を放棄してもよいということになります。論理的帰結です。アメリカは、金正恩の目的を提供できる立場にあるわけです。

 

では、米朝首脳会談はどうなるのか?親日派として知られるマイケル・クリーン戦略国際問題研究所(CSIS)副理事長は以下の4つのシナリオがあると言っています。

 

  1. 首脳会談そのものが実現しない(可能性40%)
  2. 実現するが、大した成果がない(可能性40%)
  3. 会談で突破口を見出したふりをする(可能性18%)
  4. 話し合いの末、具体的な軍縮交渉をする(可能性2%)

 

f:id:naga-aya-omiya:20180412173552j:plain

《そして、日本は・・・》

米朝交渉の行方を見通すことは困難です。

 

日本国内には、安倍首相がトランプ大統領に助言すべきだとする意見が見られますが、日本には北朝鮮につながるルートは皆無といっていい状況です。

 

そもそも、ネトウヨなどのナショナリズムに安易に乗っかり、北朝鮮と接触を試みる人を「スパイだ」「売国奴だ」と攻撃し、自らの眼と耳をふさいでしまっているのですから。

 

米朝会談で、日本にとって心配なことが1つあります。アメリカにとってはハードルが低くて、日本にとっては死活的に重要なことです。

 

アメリカにとってのレッド・ライン(認めることが出来ない点)は、アメリカ本土まで飛行可能なミサイルが開発されることです。

 

今は開発中なので、それを凍結する。核開発も凍結する。その代わり、金王朝の体制には文句はつけない。こんな合意がなされる可能性なきにしもあらず、です。勝手に合意文書を作ってみます。

 

両国首脳は、北朝鮮の国家体制については、北朝鮮国民の意思のみが尊重されるべきであり、いかなる外部の干渉も認められないことで一致した。

また、北朝鮮は、東アジアの平和と安定に寄与するため、現在、行われている核関連技術の開発並びにミサイル等の攻撃兵器の開発を当分の間、凍結することを表明した。

 

この合意だと、アメリカ本土は北朝鮮の核攻撃の脅威がゼロになります。しかしながら、テポドン等、日本に到達するミサイルを保有している以上、日本にとっては脅威であり続けます。韓国も同様です。

 

外交は「交渉」ではなく「取引」だというトランプ大統領ですから、ありえない話ではないと思います。

 

日米首脳会談では、この点を具体的にテーマにすべきです。通り一遍の「最大限の圧力が必要」を連呼するだけでは、日本にとって最悪の米朝会談になってしまう可能性があるのです。

 

《まとめ》

米朝首脳会談の動きを受け、「日本は蚊帳の外におかれた」とする意見が多いように思います。

 

でも、これは仕方のないことです。もはや、状況は、アメリカ・北朝鮮・中国という核保有国によるゲームになっているからです。

 

それでも、リバリーショットは残っています。日米首脳会談です。韓国とも連携して、アメリカが「アメリカ・ファースト」だけで安易な合意にいたらないよう主張してほしいものです。

 

以上、『金正恩のひとりごと。「核が私の生きる道」』でした。