今日の日本における最大の課題は、人口減少と少子化対策。
この最大の理由は出生率の低下にあるわけですが、これを助長する陰の要因が見落とされています。
それは、性感染症である「クラミジア」感染の急激な増加です。アメリカでは不妊の原因の20%はクラミジア感染と考えられています。
また、妊婦が感染していると、流産や死産につながる恐れがあります。
「クラミジア」感染症とは?
クラミジア感染症とは、一体、どのような疾患なのでしょうか?
クラミジアは、感染した人の精液や膣分泌液が性器や泌尿器、肛門、口腔に接触することで感染します。
女性の場合、おりものの増加、不正出血、下腹部の痛みや性交渉時の痛みなどがみられます。男性の場合は、排尿時の軽い痛みや尿道のむず痒さを感じる程度です。
クラミジアは感染しても男女ともに無症状のことが多く、特に、女性の場合は9割以上が無症状であるため、そのまま放置されるケースがほとんどだといいます。
ずっと放置したままだと慢性感染の状態となり、男性は前立腺炎や精巣上体炎を引き起こし、女性の場合は卵管炎や腹膜炎を引き起こします。女性で進行していけば、骨盤内に炎症が波及していきます。骨盤内に炎症があると、精子や卵子の通り道をふさいでしまう格好となり、不妊の原因となってしまいます。
骨盤内に炎症を引き起こす割合は、クラミジアに感染した女性の1割から4割に達するとされており、アメリカでは不妊の原因の20%はクラミジア感染と考えられています。
また、妊婦がクラミジアに感染していると、流産や死産、早産につながる恐れがあることも指摘されています。
日本のクラミジア感染の状況
日本のクラミジア感染の状況ですが、これといったまとまった統計はないようです。
わずかに、2006年に国立保健医療科学院が行った、某県の大学と専門学校に通う、性交渉の経験がある学生735人を対象にした研究では、18~19歳の女性のクラミジア感染率は13.4%でした。
この研究からすでに10年以上がたち、アメリカをはじめとする世界でクラミジア感染は拡大しています。
日本でも同じ性感染症の「梅毒」感染者がこの10年で9倍に達していることをふまえると、クラミジア感染率はさらに高まっていると考えるのが正しいということになるでしょう。
クラミジアは必ず治る
万一、クラミジアに感染してしまったらどうなるのか?もう、出産は諦めないといけないのか?
そんなことは全然ありません。クラミジア感染と診断された場合、抗生剤を服用します。現段階で耐性菌は確認されておらず、しっかりと治療すれば必ず治ります。
不妊症には様々な原因があります。不妊症の原因となる要因がいくつも重なっているケースもあれば、原因がこれと特定できないケースもあります。
ただ、クラミジアをはじめとする性感染症は治療で治ります。検査によって早期に発見し、適切に治療さえすれば、不妊症に至るまでに治すことができるのです。
ネット販売の「検査キット」を使って自宅で検査
検査の必要性を理解しても、忙しくてなかなか病院には行けない人が多いでしょう。それに加えて、陰部のことですからなおさら恥ずかしくて・・・という人はもっと多いでしょう。
実は、クラミジアをはじめとする性感染症の検査は、わざわざ病院に行かなくても、自宅で検査することが可能なのです。
ネット上で販売されている「検査キット」を購入し、自分自身で検体を取って郵送すれば、匿名で検査結果をすぐに知ることができるようになっているのです。
医療ガバナンス学会の山本佳奈医師が、実際に検査キットを購入して試したみた際のレポートをメルマガ『MRIC』に以下のように掲載しています。
筆者も、本当に簡単にできるか試すため、早速、インターネットで注文し自宅で使用してみた。
最初は、どんな検査キットなのか、本当に自分でできるのかと不安だった。だが、中身が何であるか全く分からないような包装であったため、ひとまず安心した。
注文キットと共に、検査方法の書かれた説明書が入っていたため、読んでその通りにやってみた。思いの外、簡単であっという間に検査は終了。検体を封筒に入れて投函したら、結果は数日後に匿名で送られてきた。
アメリカやイギリスでは、この検査キットがすでに一般に普及しています。説明書に忠実に検体を採取すれば、医師が病院で行う検査と正確さは変わらないことが報告されています。
性病検査キット STDチェッカー【タイプP(男性用)】 4項目:クラミジア(性器/のど)、淋菌(性器/のど)
- 出版社/メーカー: 株式会社アルバコーポレーション
- メディア: ヘルスケア&ケア用品
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性病検査キット STDチェッカー【タイプP(女性用)】 4項目:クラミジア(性器/のど)、淋菌(性器/のど)
- 出版社/メーカー: 株式会社アルバコーポレーション
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おわりに
「一部の品行不良な人がかかる性感染病」とレッテルを貼り、タブー視するかのように議論を避ける姿勢では、いっこうに解決に向かわない。オープンに議論し、合理的な対策に踏み出すことが急務だ。
あるシンポジウムでの講師のこの言葉に触発されて、この記事を書きました。
「若者を取り巻く環境が悪い」「性教育が不十分だ」とはもっともな指摘ですが、どうやら、そんな建前論では済まない現状にあるようです。
建前論やきれい事ばかりの空疎な議論が、子宝を授かりたいと願う多くのカップル を泣かせることになるのです。