落とした食べ物の「3秒ルール」は万国共通。人類のDNAに組み込まれている!

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お菓子などをうっかりと床に落としてしまいましたが、「3秒たっていないからセーフ」とか言って食べてしまう「3秒ルール」。

 

うちの子どもたちは、あたかもそれが常識であるかのごとくやっています。

 

実は、これは日本だけではなく、世界中に似たような慣習があることがわかりました。まさに、万国共通。

 

アメリカでは「5秒ルール」が一般的だったりするものの、人類のDNAに組み込まれているかのように感じます。

 

 

 

「3秒ルール」の起源

「食べ物を落としても3秒以内なら食べても大丈夫」という3秒ルール。日本ではすっかりおなじみの「ルール」でしょう。

 

これがいつの時代から、どのようにして始まり、広がっていったのかについては、はっきりとはしていません。

 

よく唱えられる説としては、食糧難が続く戦後直後にみんなで一緒に同じ物を食べるという学校給食の普及と、バスケットボールの「3秒ルール(相手ゴール前の制限区域内に3秒以上とどまってはならない)」とが混じり合って出来た、というものです。

 

腹を空かせたハナタレ坊主が給食のコッペパンをうっかり落としてしまい、慌てて拾い上げて食べようとしたら、女子から「きたなーい」と言われ、体育の授業で教わったバスケットボールのことが頭に浮かんで思わず、「3秒たってないからいいんだよ」・・・とまあ、こんな感じでしょうか。

 

 

万国共通の「3秒ルール」

「3秒ルール」は日本だけのローカルルールかと思いきや、世界各国に存在するようです。

 

『Beautiful Backdrop』(http://beautiful-backdrop.com/3second_rule)というサイトで、いろいろな国の人に聞いて回った結果を掲載していました。それを簡単にまとめてみますと、

 

  • 南米 ー3秒ルールが主流
  • 東南アジアー3秒ルール インドネシア・バリ島は10秒
  • トルコー3秒ルール
  • ヨーロッパールールなし
  • イギリスー5秒ルール
  • アメリカー5秒ルール

 

インドからシリアにかけては「3秒ルール」は存在しないようです。拾って問題なさそうな物は食べるとのことで、物で区別していくようです。

 

イギリスを除いたヨーロッパにも「3秒ルール」はありません。物や場所は選ぶものの、そもそも落としたからといって、なぜ、食べてはいけないのだ、という感じだそうです。

 

確かに、ヨーロッパのレストランでは、あまり綺麗でないテーブルの上にスプーンはもちろん、パンも直置きされます。これは衛生面の意識が低いからというよりも、気候的に乾燥しているので雑菌が繁殖しにくいという事情もあるのかもしれません。

 

そして、面白いのは、イギリスとアメリカという英語圏の国は「5秒ルール」だということです。

 

なぜ日本より2秒長いのかはわかりませんが、社会全般に信じられているようです。特に、男性よりも女性の方が「5秒ルール」を”適用”しているというデータまであるほどです。

 

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また、アメリカの学生寮などでは、「5秒ルールの酔っ払いバージョン」として「10秒以内ならセーフ」となります。

 

判断力が鈍り、足下もふらついている酔っ払いは、食べ物を拾い上げるにも時間がかかるということでしょうか。ジョークっぽい、アメリカならではの発想です。

 

ちなみに、チンギス・ハンのモンゴル帝国は「12時間ルール」だったといわれています。さすがはユーラシア大陸の過半を征服したモンゴル帝国です。スケールが違います。

 

 

「3秒ルール」の背景にある慣用句

古くから人類は食糧の調達に大変な苦労を重ねてきました。苦労して手に入れた食べ物を床や地面に落としたくらいで捨てるなんてもったいない。汚れたのはわかっているけど、捨てるわけにはいかない。

 

そこで、何とか食べることを正当化できないものかということで、世界各国で慣用句、言い伝え的な言葉が生まれました。「昔からこう言うではないか」と落とした物を食べることを正当化したのではないでしょうか。

 

その慣用句をいくつか紹介します。

 

  • ホコリがベーコンを作る(ドイツ)
  • 胃を綺麗にするホコリがある(スウェーデン)
  • 人は年間7ポンドのホコリを必要とする(デンマーク)
  • 大きい菌(人間)は小さな菌を食べる(中国)
  • 人は死ぬまでに1ペック(約9ℓ)のホコリを食べる(イギリス)
  • 神はホコリを作り給うた。故に危害を与えない(イギリス)

 

 

「3秒ルール」に科学的根拠はあるか?

そこで、やはり気になるのか「3秒ルール」に科学的根拠はあるのか、という点です。

 

アメリカの高校生ジリアン・クラークは、「5秒ルール」の科学的妥当性を研究しました。わずか5秒でも食品には細菌が付着し、ルールは成り立たないとの結論に達しました。

 

2004年、彼はこの研究により、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して授与される『イグノーベル公衆衛生賞』を受賞しています。

 

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他にも「3秒ルール」をまじめに研究した大学があります。「5秒ルール」が広く信じられているアメリカとイギリスの研究です。それらを簡単にまとめますと、

 

  • 2003年  クラークが様々な場所の床の菌数を調査。5秒とはいえ落とした食べ物が安全とは限らないと発表。イグノーベル賞受賞。
  • 2007年  米国・クレムゾン大学が床に落とした食べ物の菌数を調査。危険度は時間よりその場所の清潔さで変わると発表。
  • 2014年  英国・ アストン大学の調査。水分が多い食べ物ほど落とした際の汚染度が高いと発表。
  • 2016年  米国・ラトガース大学のサルモネラ菌を用いた調査。1秒未満で床から拾い上げても菌は付着すると発表。

 

それぞれの研究はその切り口は違いますが、要は、落ちた食べ物をすぐに拾い上げても、決して安全とはいえないということです。まあ、当然と言えば当然なのですが・・・。

 

にもかかわず、です。例えば、お菓子メーカー大手の「不二家」は2007年、賞味・消費期限切れ原料を使用していたことが発覚し問題となりましたが、不適切な原料の使用は日常的に行われていて、そのなかには「3秒ルール」があったと言いますから開いた口がふさがりません。

 

今もなお、世界各国で”適用”され続けている「3秒ルール」。食糧調達の苦労が人類のDNAに組み込まれてしまっているのでしょうか。

 

 

以上、『落とした食べ物の「3秒ルール」は万国共通。人類のDNAに組み込まれている!』でした。