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【紙の辞書vs電子辞書】どちらも学力が向上するという根拠は弱いので・・・

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受験勉強をしている娘を見て、ふと気づいたことがあります。英語の勉強で、普通の紙の辞書はまったく使わずに、電子辞書ばかりを使用しているのです。

 

「普通の辞書、買わなかったっけ」

「買ったけど・・・、学校でも誰も使っていないよ。みんな電子辞書」

 

これも時代の流れかと思いつつも、紙の辞書を使い込んできた親として気になるのは「電子辞書で学力が向上するのか」という点です。

 

 

中・高生の6割が電子辞書を所有

分厚くて重厚感があった紙の辞書に対し、すっきりスマートになって電子化された電子辞書。

 

トレンド総研が実施した「小中学生のデジタル学習に関する実態調査」によると、勉強にパソコンやスマホ、タブレットの使用について質問したところ、小学生の64%、中学生の77%が「使用している」と答えました。

 

具体的には、電子辞書の使用は小中学生の22%、中学生に限れば48%となっています。

 

また、ORICON STYLEが行った同様の調査では、中・高生の電子辞書の所有率は60%を超えていて、かなり高い確率で所有しているという結果となっています。

 

この2つの調査ではそれぞれ、電子辞書を所有している理由も尋ねていますが、最も多い回答は「紙の辞書が重かったから」「学校で購入を指示されたから」

 

次いで、「紙の辞書よりかさばらないし、多くの辞書を含んでいるのですぐに調べられるから」と実用的な部分が多くあげられていました。

 

 

紙の辞書と電子辞書、どちらが学力向上?

電子辞書が便利で実用的なことは、紙の辞書を使ってきた者にもよくわかります。ただ、何となくですが、電子辞書では学力向上にはつながらないのではないかと感じるのです。

 

もちろん、電子辞書で十分に学力がつくと主張する人もいます。そこで、データで実証したものがないかと調べてみました。

 

まず、紙の辞書が学力向上になるというデータですが、2008年1月12日付読売新聞の記事にありました。

 

高校3年生100人に調査した結果、成績が下位の生徒ほど電子辞書を使っている傾向がみられる。

書籍版の英和辞典を徹底的に教えている中学校では、英語の成績が非常に良かった。

 

次に、電子辞書が学力向上につながるというデータですが、先にあげたトレンド総研の調査結果にありました。

 

「成績が所属学級で上位25%に入っている」と答えた生徒の回答では、電子辞書の使用率は32%と、他の子どもとの間に顕著な差が見られ、成績を向上させる上で欠かせないアイテムとなっている。

(注:調査対象は小中学生) 

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 どもちらも、成績優秀な生徒が使用していることを主張していますが、それは学力向上の根拠として弱いと言わざるをえません。

 

「成績が下位の生徒ほど電子辞書を使っている」と言いますが、それではその生徒らに無理矢理にでも紙の辞書を使わせたら成績は上がるのか?

 

クラスの成績上位の生徒の32%が電子辞書を使用とありますが、彼らが紙の辞書を使ったら下位に落ちてしまうのか?

 

そもそも、電子辞書を所有する理由の中に、「成績が上がるから」というのは入っていないことを強く指摘しておきます。

 

 

教育委員会の見解

ただ、1つ気になることは、電子辞書を使用する理由で最も多いのは、「学校で購入を指示された」というものだったこと。多くの学校現場では電子辞書と学力向上の関係性について、すでに結論が出ているのではないかということです。

 

学校を指導・監督する立場にある教育委員会の見解を見つけましたので、少々長くなりますが紹介します。

 

◎教育次長  電子辞書がよいのか書籍の辞書がよいのか、これは教育の根本に関わる部分でもあるのではないかと思っております。実は家庭教育も同じであります。携帯電話を持たせるのがよいのか悪いのか、物事には必ずよしあしがあろうかと思います。

私どもは少なくとも学校におきましては、その学校に通ってきている子供たちにとって一番よいのは何かということを教職員でしっかりと決めて、決めたらうちの学校はこうやっていくのだと、全教職員が一緒に同じ行動を取っていくべきものなのだろうと思っております。

そういう意味で、電子辞書を入学生全員に買わせている学校もございます。それはその学校では生徒に対して、電子辞書を持たせてこういうふうに利用させた方がよいということを職員間できちんと議論したうえで買わせているものであります。またそうではなくて電子辞書は絶対にだめだと、きちんと書籍で読ませるのだという学校もございます。それはやはりそれぞれの学校の信念というものではないかと私は考えております。

 (引用:新潟県議会議事録) 

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電子辞書か紙の辞書かは「教育の根本に関わる部分」とは述べつつも、どちらを使うかは、教職員が議論した上で「学校の信念」で決めるものだとしています。

 

教育次長という県教育委員会のナンバー2でさえ、「学校の信念」という抽象的なことでしか語れないわけですから、紙の辞書も電子辞書も、どちらも学力が向上するという根拠は明確に確立されていないのだ思われます。

 

 

辞書を使い込むことが王道

今の中高生の親の世代には紙の辞書しかありませんでした。したがって、紙の辞書を使って厳しい受験戦争を乗り越えました。紙の辞書で志望校に合格しました。そう、成功体験です。

 

紙の辞書を支持する人は、自らの成功体験を押しつけているだけなのかもしれません。紙の辞書派は必ずこう言います。 

 

「わからない言葉があれば辞書を引く。手間がかかる分だけ頭に入るし、辞書には調べた言葉以外の単語もあって周辺情報も覚えることができる。こうして俺は語彙力をつけたのだ」

 

こうした言葉を、電子辞書に慣れ親しんだ生徒たちは「バスに乗るより歩いた方が道を覚える」と言われたかのように思うのではないでしょうか。

 

「わからないではないけど、速いし楽だからバスに乗るよ。道はスマホのアプリがあるから覚えなくてもいいし」と彼らは反論するでしょう。

 

今の生徒が電子辞書に流れていくのは止めようがないと思います。時代の流れというやつです。

 

技術は日進月歩。使えるものはどんどん使って学習効率を高めていけばいいと思います。

 

もちろん、紙の辞書にも素晴らしい点がいっぱいあります。

 

要は、どちらを使うにせよ、「辞書を使い込む」ことが学力向上の王道であることに違いはありません。

 

 

おわりに

長年にわたって慣れ親しんできた物が、新しいテクノロジーに取って代わろうとする際、そこには必ず対立と軋轢が生じます。

 

例えば、フィルムカメラとデジタルカメラ、鉛筆とシャープペンシル、本と電子書籍、などなど。

 

フィルムカメラは「味がある」として一部のマニアの熱狂的な支持を得ていますし、鉛筆も受験のマークシートやデッサンなどで存在意義を確保しています。

 

近いうちに、学生カバンの中から紙の辞書は消えてしまうものと思われますが、それでも何らかの存在意義を必ず見出して生き残っていくはずです。紙の本が電子書籍に今のところは勝っているのですから。

 

以上、『【紙の辞書vs電子辞書】どちらも学力が向上するという根拠は弱いので・・・』でした。