日本の落雷事故の死亡率が高いのは、金属製品を外して大きな木の下に逃げるから。

スポンサーリンク

f:id:naga-aya-omiya:20180605163032j:plain

 

これから梅雨の季節に入ります。梅雨から夏にかけては、天候が荒れて雷が鳴り響くことが増えてきます。落雷による事故が急増するのもこの季節です。

 

雷について調べてみると、日本の落雷事故の死亡率は、アメリカと比較して異常に高いことがわかりました。

 

「金属製品を外していれば大丈夫」という迷信や、すぐに大きな木の下に逃げることが、高い死亡率の原因になっていることをご存知でしょうか。

 

 

雷の季節は7月

よく怖いものとして、「地震、雷、火事、親父」といいます。「地震、火事、親父」は年中恐ろしい存在ですが、雷は、梅雨入りから9月にかけて最も多く発生します。

 

当然ながら、落雷による事故もこの時期に集中して起こっています。

 

雷は、雷雲の位置によって、海面や平野、山岳など場所を選ぶことなく落ちます。また、周囲より高いものほど落ちやすいという特徴があります。

 

グランドやゴルフ場、屋外プールや海浜、山頂、海上などの開けた場所にいると、雷雲から直接に人間に落雷することがあり、これを受けると8割方死亡するといいます。

 

ちなみに、年間を通じて死亡率が高いのは7月で34%、続いて6月の23%、そして8月の14%となっています。

 

 

日本の落雷事故の死亡率は高い

1994年から2010年までの間、落雷によって被害を受けた方は平均して約20人、うち死亡された方は約14人となります。日本では落雷事故による死亡率は70%ということになります。

 

一方、アメリカでは平均の被害者数約400人、うち死亡者数は62人で死亡率は15.5%となっています。

 

アメリカと比較しても日本の死亡率が異常に高いことがわかります。これは前段で述べた、直接に人間に落雷した際の死亡率80%とあまり差がないということになります。

 

なぜ、日本の死亡率が異常に高いかというと、「金属製品を外しているから大丈夫だ」という迷信めいたものや、慌てて大きな木の下に避難する行動に原因がありぞうです。

 

f:id:naga-aya-omiya:20180605164007j:plain

 

雷は金属製品を狙って落ちない

雷は金属製のものに落ちる確率が高そうな気がしますし、自分が金属を身につけていると危険性が高まる・・・。

 

そんなことから、雷が鳴り始めたら「金属製品を外せば大丈夫」と思いがちです。(私もそう思っていました)

 

実際、金属製の指輪やネックレス、メガネなどを外せば落雷しないとよく聞いてきましたが、小さな金属体に雷を引き寄せる効果などはないとのことです。

 

「あの人はネックレスをしていたから雷に・・・」と言われることがありますが、これは人体そのものが突起物になっているために雷が引き寄せられたのであって、ネックレスなどの部分的な金属物を外していても避雷効果はないため、ネックレスを例え外していたとしても結果は変わらなかったと考えられます。

 

マネキンを用いた実験でも、金属つけたマネキンとそうでないものとの差はないことがわかっています。人間自体が電流を流す導体ですから、金属製品の有無は関係ないわけです。

 

つまり、雷は金属製品を狙って落ちるというのは、科学的根拠のない、迷信のようなものといえるわけです。

 

f:id:naga-aya-omiya:20180605163137j:plain

 

慌てて大きな木の下に逃げると危険!

雷は、金属に落ちるのではなく、高い所、高い物、高く突き出た物に落ちやすい傾向があります。周囲に高いものがないグランドや、平地が広がるゴルフ場や屋外プール、海浜などが要注意です。

 

雷は雨をともなうので、慌てて雨宿りをかねて大きな木の下に避難しがちです。大きな木の下だと雨は防げるし、木は金属でないので雷も落ちないし、加えて金属製品は外しているし、まったく危険はないと考えがちです。

 

ところが実際はその逆。平地が広がる所での高い木こそ、雷が落ちる可能性が大なのです。繰り返しますが、雷は高いものに落ちる傾向があるのです。

 

樹木に落雷した場合、樹木を通って地面へと雷の電気が流れるため、人間が雷の電気の通り道の樹木に近づいていると、樹木から人体への再放電を受けてしまうのです。

 

また、ビルなどの建物の軒先で雨宿りすることも、樹木の場合と同様の理由で危険です。建物に落雷すると、雷の電気が外壁と地面を伝わって襲いかかってくることになります。

 

雷が鳴っている際には、樹木、ビル、高い物には近づかないのが原則と言えそうです。

 

 

 

緊急時には「雷しゃがみ」で対応

それでは、雷から身を守るためにどうすべきかといえば、高さが問題なのですから、なるだけ姿勢を低くして、建物の中に避難するのが良いとなります。

 

意外に思われますが、自動車の中は安全性が高いようです。車両に雷が落ちても、電気は車体の外側を通って地面に流れ、内部への影響はないからです。

 

開けた平地で、建物や自動車などがない場合が問題です。アメリカの落雷の多い地区では、「雷しゃがみ(Lightning Crouch)」を推奨しています。

 

f:id:naga-aya-omiya:20180605163233p:plain

出典:ケメ子のウェブログ

 

上のイラストのような格好となりますが、ポイントは両足のかかとを合わせること、つま先で立つこと、の2点です。

 

両足のかかとを合わせるのは、万一、雷の電気が地面から足へ進入してきても、片足から反対側の片足へUターンして流し返すためです。

 

また、つま先で立つ理由は、地面との接点を可能な限り小さくして、電気の進入を最小にするためです。

 

そういえば、私がアメリカに遊学していた際、ホームステイ先の子どもたちが、「雷しゃがみ」の姿勢を誰が一番長くできるかをというゲームをしていました。学校でゲーム感覚で教え込んでいるのだと思います。

 

 

おわりに

地域の子ども会でバーベキューをすることになりましたが、その保護者向けのプリントに記載されていた注意事項として、「落雷を防ぐため、金属製のものは身につけさせないでください」と書かれていました。

 

怖いものとして、「地震、雷、火事、親父」と言われますが、地震も火事も親父も正しい対処法が普及しています(親父は異論があるかも?)。ただ、雷だけが迷信のような事がまかり通っているのが気になります。

 

また、2010年までの『警察白書』には落雷事故のデータが載っていましたが、11年以降は記載されなくなりました。こちらの方も、とても気になります。

 

以上、『日本の落雷事故の死亡率が高いのは、金属製品を外して大きな木の下に逃げるから。』でした。