大学入試問題&解答の公表を文科省がルール化 でも、東大・京大は拒否しています。

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大学入試の受験勉強の定番は、過去に出題された問題を集めた「赤本」をやることです。

 

恥ずかしながら初めて知ったのですが、ほとんどの大学が問題は公表していても、解答は公表していなかったのですね。「赤本」の解答は、出版社が独自で作成したものだったのです。

 

ここ何年か、出題ミスが続いたことから、文部科学省は入試問題と解答の公表を原則として求める新ルールをまとめました。

 

しかしながら、天下の東大も京大も、断固としてそれを拒否すると言っています。

 

 

 

大学入試問題&解答の公表を文科省がルール化

朝日新聞によると、阪大や京大などで入試ミスが相次いだことを受け、文部科学省は大学に対して入試問題と解答の公表を原則として求める新しいルールをまとめ、各大学に通知したとのことです。

 

昨年(2017年)までは、入試問題と解答の公表を各大学が「努める」ことを求めていましたが、今年(2018年)からは「原則公表する」とするようです。

 

ただ、公表しなくても罰則はないため、最終的には各大学の判断に委ねられることになりますが、公表しない場合は、その理由を明確に説明することが求められることになりそうです。

 

2017年度の大学入試で、正解や解答例を非公表とした国立大学は36校で全体の4割超でした。

 

 

公表のルール化は受験生には歓迎すべきこと

2つの意味で、今回の文科省の新ルールは受験生にとって歓迎すべきことになると思われます。

 

1つは、文部科学省が公表のルール化に踏み切った直接の原因は、相次ぐ出題ミスです。ミスのあった京大をめぐっては、非公表としていたために対応が遅くなったとの指摘がありました。文部科学省も、解答例の公表がミスをなくすことにつながるとの考えを示しています。

 

懸命に受験勉強を重ねてきた受験生にとって、出題ミスのある問題を解かされるほどバカげたことはありません。出題ミス問題に時間をとられ、出来る問題に手が回らなかったということになれば、泣くになけません。

 

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出題ミスを皮肉る京大の立て看板

 

もう1つは、公表された解答例で受験生が自己採点できることです。

 

もう20年以上も昔の話ですが、早稲田大学を受験した際のことです。受験が終わって校門を通ると、予備校の腕章をつけた人が「駿台予備校でーす。本日の解答をお配りしていまーす」と叫んでいます。

 

つい10分ほど前に終わったばかりなのに「なぜ?」と思いましたが、駿台予備校と代々木ゼミナールが配っていた「解答」を受け取りました。

 

そして、自己採点していて驚いたことは、国語の問題で選択式の解答例が、駿台予備校が「a」、代々木ゼミが「c」だったのです。これにはホント、参りました。今だに、あの問題の正解はわかっていません。(早稲田大学は当時から今日にいたるまで解答例を公表していない)

 

大学が公表する正式な解答例で自己採点することができれば、振るわなかった受験生も自らの力を正しく把握でき、次回につなげることができるというメリットが受験生側にはあるのです。

 

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東大・京大は公表を拒否!

公表に対しての大学側の姿勢は真っ二つに分かれています。

 

出題ミスのあった大阪大学は、これまで4月以降の窓口閲覧しか認めてこなかった解答例を、3月中にホームページで公表しています。名古屋大学も同様に、公表する時期を3月に前倒ししています。

 

一方、同じく出題ミスのあった京都大学は、公表しない姿勢を崩していません。東京大学も「開示するつもりは全くない」と突っぱねています。

 

天下の東大・京大がともに断固拒否の構えを見せるのは、「受験生の柔軟な発想や独創性を阻害する」「思考力を重視しており、これが正解だと示せないものがある」からだそうです。

 

確かに、記述式問題の場合は様々な切り口があり、特にこれという正解はないかもしれません。だからといって、何も公表できないことの理由にはならないと思うのですが。

 

東大にとっての入試の位置づけ

『INTERVIEW   PROFESSOR』というサイトにおいて、上田正仁・東大教授が「東大にとって入試の位置づけ」を語っていました。

 

入試は企業におけるリクルート活動と同じ。東大はどんな人を育てたいのか、どんな人が日本の将来にとって必要だと思っているのか、そんなメッセージが凝縮されているのが入試問題です。

 

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さすがは東大です。自校のみならず、日本の将来まで考えて入試問題を作成しているというわけです。

 

それならば、解答例を受験生のみならず世間に向けて公表するべきです。東大が欲する人材とは、日本の将来に必要な人材とは、という視点で作成された問題に対してどのような模範解答例を用意しているのか、最高学府たる大学はそれを明示する責務があると言っては言い過ぎでしょうか。

 

もちろん、論述式の問題では正答は1つとは限らないでしょう。その場合でも、複数の解答例やスタンダードな解答例を示すことは可能です。

 

それも無理と言うのなら、せめて、出題の意図、狙い、評価するポイントくらいは公表するべきだと強く思います。

 

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おわりに

国立大学は国民の税金で運営されています。入試問題も税金で作成されています。

 

「この大学にはこういうメッセージが入試問題に込められている」と、納税者には知る権利があることを強調しておきます。特に東大は、日本の大学のリーダー的存在であることを強く自覚して欲しいと願っています。

 

以上、『大学入試問題&解答の公表を文科省がルール化 でも、東大・京大は拒否しています。』でした。