「メンソレータム」より「メンターム」が大好きな2つの理由

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軟こうを買おうとドラッグストアに行ったら、「メンソレータム」と「メンターム」が同じ棚に並んでいて、迷った経験はありませんか?

 

どちらも同じようなサイズだし、同じような緑のデザインだし、何よりも同じような名前だし・・・。

 

元々はメンソレータム1種類だったのが、歴史的経緯があってメンタームとに分かれましたが、私は迷うことなく「メンターム派」です。

 

今回は、私が「メンソレータム」より「メンターム」が大好きな2つの理由について、ご紹介します。

 

 

 

元は「メンソレータム」1種類だった

メンソレータムはロート製薬が製造元です。そして、メンタームは近江兄弟社が製造元です。

 

メンソレータムは、アメリカの「メンソレータム社」の製品で、日本での製造・販売権が近江兄弟社(本社・滋賀県近江八幡市)に与えられました。

 

1920年、近江兄弟社が製造・販売を開始したメンソレータムは、ひびやしもやけ、あかぎれなど皮膚のトラブルを改善させる万能薬として知られるようになり、瞬く間に「家庭の常備薬」として普及しました。

 

しかし、1974年、オイルショックによる原材料費の高騰などの影響で、近江兄弟社は会社更生法を申請。これによりメンソレータムの販売権を失い、ロート製薬がその販売権を取得することとなりました。

 

以降、ロート製薬がメンソレータムの製造・販売を行いました。その一方、近江兄弟社は、会社再建の方策としてメンソレータムの製造設備を活用した類似商品を製造することとし、メンソレータムの略称として商標登録してあった「メンターム」を商品名としたのでした。

 

1975年、近江兄弟社は、主力商品として「メンターム」の製造を始め、自力再建への道を歩み始め、今日に至っています。

 

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「メンソレータム」と「メンターム」の成分・効能の違い

それでは、メンソレータムとメンタームには違いはあるのでしょうか?

薬ですから、成分からみていきましょう。

 

 メンターム

 メンソレータム

dl-カンフル 9.60%

dl-カンフル 9.60%

l-メントール 1.35%

l-メントール 1.35%

ユーカリ油 1.30%

ユーカリ油 1.50%

白色ワセリン

黄色ワセリン

パラフィン

酸化チタン

パイン油

サリチル酸メチル

 

黄色ワセリン

 

酸化チタン

テレビン油 

サリチル酸メチル

 

ほぼ、同じ成分となっています。メンタームは、近江兄弟社がメンソレータムの製造設備を活用して、類似商品を製造するとしたわけですから、当然と言えば当然です。

 

違いとしては、メンタームには白色ワセリンとパラフィンが使用されていること、使われている油がパイン油とテレビン油との分かれていること、といった添加物の部分だけとなっています。

 

ただ、精製度の高い白色ワセリンを使っているメンタームの方が高級感がありますし、肌の弱い人には良さそうな気がします。

 

いずれにしても、同じ成分となっているため、効果・効能には大きな違いはないといえるでしょう。

 

 

大好きな理由① メンタームは値段が安い

気になる両者の値段ですが、近所の某ドラッグストアで調べてきました。

 

メンソレータム 12g 295円(1g当たり24.5円)

メンソレータム 75g 795円(1g当たり10.6円)

 

メンターム 15g 284円(1g当たり18.9円)

メンターム 85g 495円(1g当たり5.8円)

 

小さいサイズだとメンターム少しだけ安いかなという程度ですが、大きいサイズとなると、箱当たりでも1g当たりでも、メンタームはメンソレータムより45%も安いことがわかりました。

 

同じ成分で効能・効果とも大きな違いがないのですから、あとは値段がどうかです。メンタームの方がはるかに安いのですから・・・。これが大好きな理由の1つです。

 

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近江兄弟社本社にあるメンターム資料館

 

大好きな理由② 近江兄弟社は社会貢献に積極的

現在、メンタームを製造している近江兄弟社の創業者は、W・M・ヴォーリズというアメリカ人宣教師です。

 

英語教師として滋賀県近江八幡市に赴任したヴォーリズは、教師の職を辞した後も同地にとどまり、キリスト教の布教活動を展開しました。

 

布教の根幹を担ったのは、ヴォーリズが設立した「近江兄弟社学園」。「キリスト教にもとづく人間教育」を理念として掲げた同学園を資金的にバックアップするために設立されたのが、メンソレータムの製造・販売を行う近江兄弟社でした。

 

メンソレータムを主力商品とした近江兄弟社は皮膚薬のトップメーカーとなりましたが、1970年代に経営破綻状態となったことは先に述べました。

 

メンソレータムの販売権を失った近江兄弟社の自主再建にあたり、かねてより同社の経営理念に共鳴していた「大鵬薬品工業」の小林幸雄社長は、『善意』として1千万円を寄付しました。このことは、「薬業史を飾る男のロマン」と讃えられました。

 

近江兄弟社は資金繰りに悩んでいたにもかかわらず、この資金を会社再建に充てることは一切せず、『大鵬基金』として積み立てられました。

 

この『大鵬基金』は、「困窮の時に助けて頂いた私たちが、今度は社会で困っておられる皆さまに恩返しする」として様々な社会貢献活動に使われ、後に近江兄弟社の「ニコニコ活動」に引き継がれていきました。

 

この「ニコニコ活動」は社会福祉施設や震災被災地への支援をはじめ、ラオスやタイでの小学校建設など、活動の範囲は世界に広がっています。

 

倒産の危機にあった地方の中小企業が懸命に再建を果たし、世話になった恩を忘れることなく、利益追求だけでなく積極的に社会貢献を行うーーこういう企業こそが日本経済の強みだと思います。これが、もう一つの大好きな理由です。

 

 

まとめ

薬問屋に勤めていた祖父がメンタームを手に取る度に、「この近江兄弟社はいい会社だ」とよく言っていました。祖父が接した社員はみなが敬虔なクリスチャンで、とてもよく世話になったそうです。

 

利益至上主義の時代に、「義理と人情」に厚い企業があってもいいではないですか。

 

個人の感情が先走ったかもしれませんが、いずれにしても、メンタームは、日本を代表する企業のロート製薬が製造するメンソレータムと効能・効果に変わりはない一方で、値段ははるかに安いのです!それだけでも「オシ」ですよね。

 

以上、『「メンソレータム」より「メンターム」が大好きな2つの理由』でした。