2018センバツ高校野球 応援団最優秀賞の彦根東はアルプスを真っ赤に染めた!

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2018年のセンバツ高校野球が閉会しました。

 

大阪桐蔭が戦前の予想通り、圧倒的な強さで優勝しました。

 

また、応援団賞が閉会式で発表され、滋賀県立彦根東高校が応援団最優秀賞を受賞しました。

 

彦根東高校は、初戦で慶応高校を破り、2戦目で花巻東高校に延長の末、惜敗したものの、アルプス席は応援団が真っ赤に染め上げました。まさに、圧巻の光景でした。

 

最優秀賞に輝いた彦根東高校を紹介します。

 

 

《赤鬼魂》

1798年、のちに大老井伊直弼を輩出した彦根藩の藩校として始まり、1899年の中学校令によって滋賀県第一中学校となったのが、現在の滋賀県立彦根東高校。

 

藩主井伊家の先駆者精神を継承し、県立一中としての負けじ魂「赤鬼魂」を伝統としています。

 

彦根藩の藩祖・井伊直政は、関ヶ原の戦などで徳川方の先鋒隊を率いて果敢に戦いました。先陣をきる直政隊は、鎧・兜・旗指物をすべて赤く染め上げた「赤備え」の軍勢でした。

 

直政率いる「赤備え」の軍勢は、先陣をきって次々と敵をなぎ倒していったことから、「井伊の赤備え」「井伊の赤鬼」と敵方から大いに恐れられるようになりました。

 

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井伊家に伝わる鎧・兜

 

井伊家・彦根藩の藩校をルーツとする彦根東高校も、当然ながら、この「赤鬼魂」を引き継ぎ、運動部は赤を基調としたユニフォームを身につけるわけです。

 

応援団も当然ながら、赤一色です。特に、甲子園球場のアルプス席を埋める応援団は、「赤鬼魂」と大書された赤いジャージやTシャツ、赤い帽子、赤いタオル、赤いうちわ、赤いメガホン・・・。

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赤一色の応援グッズ

真っ赤に染め上げられたアルプス席は圧巻の一言。相手チームの選手が、「火山が噴火したみたいで怖かった」と言うほどです。

 

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赤一色のアルプス席

 

《文武両道》

彦根東高校は滋賀県有数の進学校です。学校の定期試験が年5回、実力テスト、校外模試、休み明けテスト、補習などがあり、生徒の多くが京大をはじめとする国公立大学に進学します。

 

野球部員だからといって特別扱いはありません。部員は授業が始まる1時間前から、早朝練習ならぬ早朝勉強を行っています。試験の点数が悪いと、練習に参加することが許されず、強制的に勉強させられます。

 

さらに、練習が終わった後も、塾や予備校に通う部員がほとんど。試合前夜には監督が「勉強禁止令」を出さなければならないほどです。

 

エースの増居翔太君はテレビの取材で、「目標は京大と甲子園に行くこと」と言っています。

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大応援を背に力投する増居投手

 

《練習が十分に出来ないグランド》

他の強豪校のような立派なグランドはありません。国宝・彦根城の堀の中に学校があるため、グランドは狭い上に、他の運動部と共用しています。バッティング練習や内外野の連係プレーなどの練習も十分に出来ません。

 

打撃練習の不足分を補うため、2017年末までは民間のバッティングセンターに通っていました。これは、同校OBらが掛け合って、運送会社の空き倉庫を改修して開業されたものですが、経営難のため閉鎖されました。

 

慌てて学校内に打撃練習場をつくりましたが、同時に2人しか打席に立てない狭さです。

 

こうした困難に直面しながらも、2017年秋の県大会は3位、近畿大会はベスト8となり、センバツ出場を自力で勝ち取っています。

 

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他校のグランドで練習する彦根東ナイン

 

《応援団最優秀賞》

2018年選抜に出場した彦根東高校。昨年夏に続き夏春連続出場となります。

 

初戦の慶應義塾高校とは進学校対決として話題となりました。関東NO1左腕と呼び声の高い慶応の生井投手から、主将の髙内選手が3ランホームランを打ち、逆転勝利を飾りました。

 

2戦目の花巻東戦は、エース増居投手が9回までノーヒットノーランと完璧なピッチングをみせます。しかし、延長10回に力尽き、0-1で惜敗しました。

 

この2試合に彦根東応援団は計6300人を動員し、アルプス席を真っ赤に染め上げました。

 

特に、チャンスには、『GO WEST』のメロディーに合わせて「レッツゴー、彦根東」と両隣りの人と肩を組んで左右に揺れながら歌う様子は、アルプス席全体が揺れているようでもありました。

 

 

閉会式では、応援団賞の発表が行われ、彦根東高校が応援団最優秀賞を受賞しました。建学の精神「赤鬼魂」にちなんで応援グッズを赤一色に統一し、真っ赤に染め上げたアルプス席の一体感や迫力あふれるエールが評価されたということです。

 

閉会式で最優秀賞の盾を受け取った、応援団長を務めた川瀬隼大君は喜びをこう語っています。

 

(アルプス席が)真っ赤に染まり、たくさんの方が応援してくれていることがわかった。チアリーダーや吹奏楽、生徒、地域の人など全員の団結力で受賞でき、光栄に思う。選手から「声がよく届いていた。応援ありがとう」と言われた。

 

なお、応援団優秀賞には、慶應義塾(神奈川)、膳所(滋賀)、乙訓(京都)、おかやま山陽(岡山)、伊万里(佐賀)の5校が選ばれました。

 

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《まとめ》 

テレビで見ていても彦根東の応援風景は迫力がありました。甲子園で観戦していた友人も、「広島カープでもあそこまではいかない」と驚いていました。

 

しかも、公立の進学校というところもいいですね。私も公立校出身ですが、強豪私立とは比較できないほど劣った環境のなかで、必死に頑張って甲子園への切符を手にしたことは素晴らしいです。

 

そして、その頑張りをみんなで真っ赤になって応援しようとする姿も素晴らしいです。高校野球ならでは、ですよね。夏の甲子園でももう一度、見てみたいと思っています。

 

以上、『2018センバツ高校野球 応援団最優秀賞の彦根東はアルプスを真っ赤に染めた!』でした。

*本記事執筆にはこちらの本が参考になりました ↓ 

井伊家の教え ―彦根藩35万石はなぜ300年続いたのか

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